2008 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬・麻酔法による体内遺伝子、蛋白、代謝物変動の総括的検討
Project/Area Number |
20591820
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 篤裕 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (30196084)
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Keywords | 麻酔薬 / 遺伝子発現 / 蛋白変動 / 代謝物変動 / 日内変動遺伝子 |
Research Abstract |
麻酔による遺伝子、蛋白、代謝物の変化を総括的に捉えるために、本年度は、ラットを対象に麻酔薬の違いによる肝代謝関連遺伝子発現の詳細な検討、およびプロテオミクスを用いて麻酔による総括的蛋白発現変動を検討した。セボフルラン麻酔が全身臓器遺伝子変動に及ぼす影響をマイクロアレイ法により検討した結果を基に、肝臓内で有意に変化した8つの薬物代謝関連遺伝子(Cyp7a1、Cyp2b15、Por、Nrli2、Ces2、Ugtla7、Abcbla、Abcc2)発現変化を標的とし、吸入麻酔薬(セボフルラン、イソフルラン)と静脈麻酔薬(プロポフォール、デクスメデトミジン)による麻酔および覚醒後の変動をRT-PCR法にて検討した。吸入麻酔薬と静脈麻酔薬間のみならず吸入麻酔薬間、静脈麻酔薬間においても麻酔後にそれぞれの遺伝子変動は異なっており、また、麻酔覚醒24時間後における遺伝子発現変動の残存効果にも差が認められた。このことより、肝臓におけるプロテオミクス変動との関連を意義あるものとした。プロテオミクスによる検討では、脳内の蛋白発現に及ぼすセボフルランとプロポフォールの影響を麻酔後と覚醒後に検討した。過去に報告した麻酔による脳内サーカディアン遺伝子発現変動と関連する蛋白変動を認めるものと遺伝子発現変動とは関連をもたない変化をするもの、および覚醒後に蛋白変動が残存するものとしないものを同定した。さらに、麻酔薬の違いによりこれらの変化が大きく異なった。以上の結果は、肝臓蛋白への影響に対するプロテオミクスによる追加検討と、脳および肝臓における代謝物変動への影響をメタボロミクスで検討する上で有意義な指標を提供した。
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