2009 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬・麻酔法による体内遺伝子、蛋白、代謝物変動の総括的検討
Project/Area Number |
20591820
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 篤裕 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (30196084)
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Keywords | 麻酔薬 / 遺伝子発現 / 蛋白変動 / 代謝物変動 / 日内変動遺伝子 |
Research Abstract |
麻酔による遺伝子、蛋白、代謝物の変化を総括的に捉えるために、本年度は、ラットを対象にプロテオミクスを用いて麻酔薬の違いによる総括的蛋白発現変動を検討するとともに、麻酔薬の違いによる代謝物変動の相違をメタボロミクス解析により検討した。プロテオミクスによる検討では、脳内および肝臓の蛋白発現に及ぼすセボフルランおよびプロポフォールの影響を麻酔後と覚醒後に検討した。過去に報告した麻酔による脳内および肝臓遺伝子発現変動と関連する蛋白変動を認めるものと遺伝子発現変動とは関連をもたない変化をするもの、および覚醒後に蛋白変動が残存するものとしないものを同定し、その関連性につき検討している。メタボロミクスによる検討では、脳および肝臓における代謝物変動への影響につきMRI測定を中心に検討した。各吸入麻酔薬(セボフルラン、イソフルラン)および各静脈麻酔薬(プロポフォール、デクスメデトミジン)のそれぞれによる代謝物変化に違いを認め、また、麻酔時間や覚醒後も異なった変動すること自体は確認できたが、相違に最も影響する物質の意義について、遺伝子発現やプロテオミクス解析との関連性が不明であり、メタボロミクスの測定法を含め、新たなアプローチの必要性を認識した。これらの結果は、前年度までの遺伝子発現検討をもとに、次年度から全身麻酔による生体変化を遺伝子発現、蛋白変動、代謝物変動の総括的関連性から検討できる体制に繋がると同時に、メタボロミクスの要因分析および質量測定の限界に対する対策および、プロテオミクスの結果をフィードバックした新たな遺伝子発現解析の必要性が認識された。
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