2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛時の鎮痛薬の薬理学的可塑性-脊髄モノアミンの変動を指標にして-
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20591823
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小幡 英章 群馬大学, 医学部, 講師 (20302482)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 脊髄 / ノルアドレナリン / セロトニン / ラット |
Research Abstract |
本年度は研究期間の最終年度に当たるため、いくつか並行して進めてきた研究の最終的なまとめの研究を行った。一つ目は抗うつ薬serotonin noradrenaline reuptake inhibitor(SNRI)であるミルナシプランに関する研究である。本薬剤をラット術後痛モデルの脊髄に投与すると鎮痛作用が発現する。この作用は脊髄にNAの拮抗薬を投与すると減弱することができるが、5-HTの拮抗薬では減弱できない。よって脊髄のNAの増加が重要な役割を果たしていることが分かった(Obata et al.)。同様の実験をラットの神経障害性疼痛モデルspinal nerve ligation(SNL)を用いて行った。ミルナシプランをSNLラットに全身(腹腔内)投与すると、投与量依存性にSNLモデルの痛覚過敏を抑制した。脊髄にNAの拮抗薬を投与すると、腹腔内投与したミルナシプランの作用は減弱されることから、はやりこの作用は脊髄でのNAが増加していることによるものと考えられた。脊髄後角からのマイクロダイアライシスによる実験では、やはりミルナシプランの投与量依存性にNAが増加し、その増加量は正常なラットよりもSNLラットでより多かった。脊髄の5-HTはやはりミルナシプランによって増加するが、増加は一時的であり、SNLラットと正常ラットを比較すると差はなかった。よってSNRIの鎮痛作用、特に神経障害性疼痛に対する作用は、脊髄におけるNAの増加が重要であることが明らかとなった。 同様の実験をトラマドールを用いて行った。トラマドールの全身投与は鎮痛作用を発揮し、脊髄にNAまたは5-HTの拮抗薬を投与すると減弱される。脊髄後角からのマイクロダイアライシスによる実験では、トラマドールの投与によってNAと5-HTともに増加していた。 以上より、脊髄でNA/5-HTを増加させる薬剤は鎮痛作用を発揮するが、特にNAは重要な働きを果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)