2008 Fiscal Year Annual Research Report
デコイ型核酸の遺伝子導入による神経因性疼痛の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
20591829
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪上 学 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (70379254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00335358)
|
Keywords | 神経障害性疼痛 / グリア |
Research Abstract |
本研究では慢性疼痛動物モデルにL5脊髄神経絞扼ラット(Chung model)を用い、HVJ-liposome法を利用してデコイ型核酸NF-кBを神経系に遺伝子導入後、温熱刺激や機械的刺激に対する疼痛反応を観察することで慢性疼痛におけるNF-кBの役割を明らかにする。これまでに我々はL5脊髄神経絞扼ラットの脊髄神経節レベルに遺伝子導入することで温熱刺激に対する痛覚過敏を抑制することを確認(Sakaue et al. Neuroreport2001)してきた、脊髄腔内にデコイ型NF-кBを投与し、マイクログリア、アストロサイト等の活性化メカニズムと痛覚過敏との関与を検討する。 (平成20年度)1)神経因性疼痛動物モデルの作製及び疼痛モデル実験の遂行 6週齢のSDラットを用い、第5脊髄神経を絹糸で結紮することにより神経因性疼痛動物モデルを作製する。疼痛の評価は温熱刺激に対する逃避反応と機械的刺激に対する逃避反応の2項目について疼痛の定量化を行った。 2)デコイ型核酸を内包したHVJ-liposomeの作製及び遺伝子導入の遂行 大阪大学の金田らによって開発されたHVJ-liposome法(Saeki et al.Cell Biology1998)はLiposomeに不活化センダイウィルスの膜融合タンパクを装飾し細胞への遺伝子導入効率を高めたベクターである。不活化ウィルスを使用しているためベクターに対する抗原性は低く、また導入細胞遺伝子へのIhtegrationを起こすこともないという利点を有する。しかし遺伝子の発現は一過性で約2週間とされている。このベクターを利用しNF-кBデコイとScrambleデコイ(control)型核酸をラット神経因性疼痛モデルの脊髄腔内に導入し2群間で温熱刺激、機械的刺激に対する疼痛過敏反応を遺伝子導入後2週間にわたり評価した。 (今後の予定)3)組織科学的検索、導入遺伝子の分布範囲の確認 導入した遺伝子の分布を検索するために神経因性疼痛モデルの神経系に蛍光標識をした核酸をHVJ-liposome法を用いて導入する。神経標本を採取し、固定し薄切標本を作製後、蛍光顕微鏡(現有)を用いて分布範囲を観察する。また、グリア細胞活性の指標としてグリア細胞特異的なマーカー(OX42:micmglia,GFAP:astrocyte)を免疫組織科学的方法で検索する。NF-кBデコイ型核酸導入前後での検索を行う予定である。
|