2008 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド製剤による二量体化オピオイド受容体脱感作機構の解析
Project/Area Number |
20591834
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北條 美能留 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00380957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上園 保仁 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20213340)
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Keywords | オピオイド受容体 / 二量体化オピオイド受容体 / 耐性 / 電気生理学 / FRETアッセイ / オピオイド鎮痛薬 |
Research Abstract |
がん性疼痛や慢性難治性疼痛におけるモルヒネの長期使用は、耐性や依存性などの副作用対策が喫緊の課題となる。モルヒネ耐性の分子機構は現在もなお完全には解明されていない。近年オピオイド受容体を含むいくつかのG蛋白共役型受容体(G protein-coupled receptors,GPCR)が二量体として生体に存在することが報告された。重要なことは、二量体化オピオイド受容体の薬理活性は単量体受容体とは異なることである。この違いがオピオイド耐性に関与するかどうか不明である。本邦においては、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルという作用の異なるオピオイド製剤が使用されているが、各オピオイド製剤が二量体化オピオイド受容体にどのように作用するか、全く不明である。 今回我々は、Baby hamstbr kidney cellに、黄色蛍光蛋白(Venus)を連結させたμ-オピオイド、あるいはμ-オピオイド受容体-Venusと青色蛍光蛋白(Cerulean)を連結させたδオピオイド受容体、並びにβ-arrestin2を発現させると、μ-、δ-オピオイド受容体は二量体を形成することがFluorescence resonance energy transfer(FRET)アッセイにより判明した。それぞれの受容体をモルヒネ、フェンタニル、オキシコドンで刺激すると、μ-受容体はフェンタニル及びオキシコドンによりインターナリゼーションされたが、モルヒネではほとんどインターナリゼーションは起きなかった。一方、μ-δオピオイド二量体化受容体は全てのオピオイド製剤でインターナリゼーションされた。こうした違いが各種オピオイド製剤でみられる耐性形成機序の違いを説明できるかもしれない。さらに私たちの開発した二量体化受容体のみをアッセイできるシステムを用いて、各種オピオイド製剤による反応性や脱感作の違いについて解析していく予定である。
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