2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス惹起インスリン抵抗性による血管内皮障害への新しい治療戦略
Project/Area Number |
20591835
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉田 道子 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (70305019)
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Keywords | 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究の目的はストレス惹起インスリン抵抗性血管内皮障害に対するRas阻害剤(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)の治療戦略への可能性を評価することである。血管内皮障害は、インスリン抵抗性における重要臓器障害の主要因である。ターゲットとなるシグナルについてはNitrosative stress、PI-3kinase→eNOS経路、NF-kBを介した過剰なiNOSによるNO発生、Akt/PKBなどがこれまで報告されてきた。一方HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)のlipid-lowering-independent effectがタンパクのファルネシル化抑制とされている。ファルネシルトランスフェラーセ阻害剤で血管内皮障害を抑制できれば、さらにはスタチンの血管内皮障害治療への期待も広がることになる。 平成22年度においては21年度と同様に、重症患者モデル動物における血管内皮障害がRas阻害剤投与にて抑制できるかについて検討した。重症患者モデルとしてLPSマウスを用いた。雄性C57BL6マウスにLPS10mg/kg腹腔内投与し、その後RAS阻害剤であるFTI-277を腹腔内投与した。LPS投与から24時間後、上下行大動脈を採取しリング標本を作成し等尺性張力を測定した。フェニレフリンの用量依存反応曲線、その後にアセチルコリンによる内皮依存性血管弛緩反応用量依存曲線を記録した。LPS投与により血管弛緩反応は低下し、FTI-277はその弛緩反応低下を抑制した。現在作用機序を明らかにするために各種阻害剤(PI3-kinase ; wortmannin, Akt ; ML-9)にて30分処置したのち血管弛緩反応用量依存反応を測定している。
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