2009 Fiscal Year Annual Research Report
Dセリンとモルヒネ鎮痛耐性形成との関連に関する研究
Project/Area Number |
20591843
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 健二 Tokai University, 医学部, 講師 (10317779)
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Keywords | Dセリン / セリンラセマーゼ / モルヒネ / 鎮痛 / 耐性 / in situ hybridization / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
モルヒネを慢性投与し鎮痛に対する耐性が形成されたラット脳内においてDセリン量、Dセリン関連タンパク質量、およびそれらの遺伝子発現変化について解析し、Dセリン代謝とモルヒネ依存・耐性形成あるいは退薬症候との関連を明らかにすることを目的とする。研究結果(1)耐性形成:モルヒネ(10mg/kg)を30日間投与し耐性が形成されたことを確認した。(2)Dセリン合成酵素のセリンラセマーゼ(Srr)mRNA量の変化:in situ hybidization法により組織内におけるSrr mRNAの変化量を詳細に検討した。モルヒネ慢性投与によりSrr mRNA発現量は全ての脳部位の神経細胞およびグリア細胞において有意に増加した。(3)Srrタンパク質量の変化:抗Srr抗体を用いた免疫組織化学法により組織内におけるSrrタンパク質変化量を詳細に検討した。モルヒネ慢性投与によりSrrタンパク質量は全ての脳部位の神経細胞およびグリア細胞において有意に増加した。(4)Dセリン量の変化:抗Dセリン抗体を用いた免疫組織化学法により組織内におけるDセリン変化量を詳細に検討した。モルヒネ慢性投与により前脳部(線状体、海馬、大脳皮質)神経細胞およびグリア細胞においてDセリン量が有意に増加した。(5)Srr発現細胞:これまでDセリンおよびDセリン合成酵素Srrは2型アストロサイトで発現されるとの報告があるが、神経細胞で発現していることが明らかとなった。以上の結果から、モルヒネ慢性投与は関連タンパク質(Srr)遺伝子発現の変化を伴いDセリン量が増加することが明らかとなった。
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