2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄後角ニューロンの可塑性と神経因性疼痛:パッチクランプ法による解析
Project/Area Number |
20591845
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Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
樫葉 均 Kansai College of Oriental Medicine, 保険医療学部, 教授 (10185754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 稔 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (20342230)
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Keywords | 神経科学 / 脳・脊髄 / 脊髄後角ニューロン / 神経因性疼痛 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
脊髄の後角は、体性感覚の中継点としてよく知られており、中でも後角表層は侵害刺激の情報を伝達、あるいは情報を処理する場として広く認識されている。一方、後角深層では主に非侵害刺激の情報を一次感覚ニューロンより伝達されることが知られているが、深層ニューロンの侵害情報への関与については不明な部分が多い。我々は、これまで侵害受容ニューロンに含まれる代表的な神経ペプチドであるサブスタンスP(SP)やCGRP、ソマトスタチン(STT)を手がかりに、ラット脊髄の新鮮スライス標本を用いたブラインド・パッチクランプ法により解析を続けてきた。その結果、約6割の脊髄後角深層ニューロンにおいてSPとCGRPは興奮性に、STTは抑制性に作用することが示唆された。また、深層ニューロンにおいて記録できる自発性のEPSCはグルタミン酸受容体のアンタゴニスト(CNQXとAP5)で、自発性のIPSCはGABA受容体およびグリシン受容体のアンタゴニスト(ビククリンとストリキニン)で完全に消失した。さらに、オピオイドペプチドについて検討してみると、約6割の深層ニューロンはエンケファリンに対してslow outward currentを示し、これらのニューロンの大部分はμ受容体やδ受容体のアゴニスト(それぞれ、DAMGOとDADLE)にも同様に反応した。このエンケファリンに応答するニューロン群はSPにも同時に応答を示した。 これらの結果より、脊髄深層における速い信号の伝達はグルタミン酸、GABA、グリシンで行われ、部分的に神経ペプチドやオピオイドペプチドがこれらのシナプス伝達を修飾していると考えられる。
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Research Products
(1 results)