2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄後角ニューロンの可塑性と神経因性疼痛:パッチクランプ法による解析
Project/Area Number |
20591845
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Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
樫葉 均 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (10185754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 稔 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (20342230)
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Keywords | 神経科学 / 脳・脊髄 / 脊髄後角ニューロン / 神経因性疼痛 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
脊髄後角の深層ニューロンにおける神経科学的研究は、表層ニューロンにおけるそれと比較すると遅れていると言わざるを得ない。そこで本実験では、侵害受容ニューロンの多くに含まれるサブスタンスP(SP)と、脊髄後角において侵害性の情報を修飾すると考えられているエンケファリン(Enk)、セロトニン(5-HT)およびアドレナリンに対する脊髄後角深層ニューロンの膜電流変化についてラット脊髄新鮮スライスを用いたパッチクランプ法により検討した。後角深層ニューロンの約70%はSP投与に対してslow inward currentを示した。Enk投与に対してはすべてslow outward currentを示し、5-HTとアドレナリンに対しては、一部はslow outward currentを示すものの、大部分はslow inward currentを示した。Enk、5-HT、及びアドレナリンに応答するニューロンは、それぞれ深層ニューロンの約50%、約40%、及び約20%であり、これらのニューロンはすべてSP感受性であった(1例を除く)。 これらの結果は、脊髄後角深層において、SP感受性ニューロンがEnkにより抑制性に、5-HT及びアドレナリンにより興奮性に修飾されること、およびSP非感受性ニューロンはいずれの影響も受けないことを意味する。
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