2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノパーティクルBCGによる副作用のない膀注療法の開発
Project/Area Number |
20591848
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
盛 和行 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (40266903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80282135)
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Keywords | BCG / ナノパーティクルBCG / 膀胱癌 / 直接効果 |
Research Abstract |
非浸潤性膀胱癌に対するBCG療法は有効な治療法であるが、BCG生菌感染に由来する副作用の存在が依然残存している。申請者はBCGを物理的に破壊し菌体成分とすることにより、効果は生菌と同等で副作用の少ない新たなBCGをつくることを目指してきた。本研究ではこのナノパーティクルBCGという新たな治療薬の有効性を広汎に実証することを目的とする。 平成20年度は、in vitro、in vivoでナノパーティクルBCGの効果を追加実証を行った。まず、比較対象となるBCG生菌の直接効果について、日本株、コンノート株の2種のBCGを用いて、膀胱癌細胞株T24細胞、J82細胞、KK47細胞、5637細胞について検討した。BCGによる生細胞数低下という現象は共通するものの、直接効果の作用機序は4種の膀胱癌細胞株によりそれぞれ異なり、さらにはJ82細胞、KK47細胞ではBCG菌株によりアポトーシスの程度に差があるなど、BCG菌株による作用機序の違いも示唆された。BCG菌株、細胞外基質、腫瘍細胞のそれぞれの性質の組み合わせにより作用機序が異なることが示唆された。 ナノパーティクルBCGは5637細胞に対し、生菌と同等の効果を示し、さらには可溶性成分であるCM単独で生菌よりもdrasticな効果を示した。作用機序について検討したところ、いずれもアポトーシスが亢進し、細胞周期のS期細胞比率も上昇、G2/G1比は低下した。一方、J82細胞、KK47細胞に対しては、BCG生菌と生細胞数低下効果は同等であるものの、アポトーシスは誘導せず、細胞周期にも影響を与えないことが明らかとなった。 BCG生菌とナノパーティクルBCGは作用機序が異なることが示唆された。
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