2010 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌に対する細胞膜透過性ペプチドによるp53ペプチド導入治療法の開発研究
Project/Area Number |
20591856
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 豊彦 岡山大学, 病院, 講師 (30432644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 一仁 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (40274287)
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Keywords | 細胞・組織 |
Research Abstract |
岡山大学では11個から成るポリアルギニン(11R)をp53蛋白に付加し、膀胱癌細胞内に導入させる蛋白質導入法が開発されている(11R-p53)。我々は、11R-p53が、膀胱癌細胞に高効率に導入され,核内で転写活性を有し、癌細胞増殖抑制効果があることを明らかにするとともに、膀胱癌モデルマウスにおいて、11R-p53は、腫瘍細胞内に特異的に導入され、正常膀胱粘膜には導入されないことを実証した。しかし、11R-p53は、ユビキチン-プロテアソーム系にて短時間で分解されるため、半減期が30分と非常に短いため、抗腫瘍効果を発揮するためには反復投与が必要であり,また生体の免疫反応を惹起させる危険性が予想される。そこで本研究では、膀胱癌に対するnR-p53蛋白質導入法として、細胞内で分解されにくい抗腫瘍性ペプチドを用いて膀胱癌に導入する長期持続型p53ペプチド導入法の開発・応用研究を実施した。p53のカルボキシル末端ペプチドに細胞膜透過性ペプチドを付加したペプチドを,D-isomerで合成し,(細胞膜透過性D型p53C末端ペプチド),細胞膜透過性D型p53C末端ペプチドの膀胱癌への導入効率,ならびに抗腫瘍効果について検討した。細胞膜透過性D型p53C末端ペプチドをp53変異型膀胱癌由来培養細胞(J82、T24)に導入し、各群においてWST-1アッセイを用い細胞増殖を経時的に検討した。WST-1アッセイにていずれの膀胱癌細胞においても細胞膜透過性D型p53C末端ペプチド1μM以上で癌細胞増殖抽制効果を認め,5μM,10μMを加えた群では,ほぼ完全な癌細胞腫瘍抑制効果を認めた。in vivoでの効果については、SCIDマウスの腹腔内にJ82を移植し、長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチドを腹腔内に投与して、生存期間をKaplan-Meijer法で検討した。いずれの勝耽癌細胞においてもペプチド濃度がMM以上で癌細胞増殖抑制効果を有意に認めた。また,ペプチド投与1日目で癌細胞のアポトーシスを有意に増強させる効果があった。また、in vivoではペプチドを投与した群では、対象群と比べて有意に生存期間の延長を認めた。長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチド導入法は、勝脱癌に対して簡便かつ安全で強力な革新的治療法として期待される。
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Research Products
(1 results)