2008 Fiscal Year Annual Research Report
精巣腫瘍における生殖幹細胞発現遺伝子DDX1の機能解析
Project/Area Number |
20591872
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 貴代子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40124474)
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Keywords | 生殖細胞 / DDX1 / 精巣腫瘍 / DEAD-box / 幹細胞 |
Research Abstract |
マウス胎仔の雄生殖巣から始原生殖細胞に発現する遺伝子として単離したDEAD-boxファミリーの一つ、DDX1遺伝子は網膜芽細胞腫でN-mycと共に増幅されていることが報告されているが、生殖系での機能は不明である。DDX1はマウス精巣切片を用いた免疫染色により、生殖幹細胞を含む精原細胞で強く発現していた。また,7日齢マウス精巣から分離したc-kit(-),integrin alpha6(+),Thy(+)の生殖幹細胞分画でもDDX1は発現していた。マウス精原細胞株(GC1)においてDDX1をノックダウンすると、cyclin D2,CD9,GDF3の生殖幹細胞関連遺伝子の発現が抑制された。これらの遺伝子はヒト精巣腫瘍の約80%で増幅されているヒト12p13領域に存在する。そこで、ヒト精巣腫瘍細胞株(NEC8)でDDX1をノックダウンしたところcyclin D2,CD9,NANOGなどの精巣腫瘍および幹細胞発現遺伝子群が抑制された。DDX1ノックダウン細胞はソフトアガーでのコロニー形成能が低下し、ヌードマウス皮下への移植による腫瘍形成能が消失した。これらの結果から,DDX1の増幅が腫瘍発生に関与していることが示唆された。そこで,精巣腫瘍組織を用いてin situ hybridizationを行ったところ、正常組織に比べセミノーマ、ノンセミノーマではDDX1の発現が非常に高いことがわかった。そこで、リアルタイムPCRにより発現量を調べた結果、腫瘍では約10倍に増幅されているのがわかった。現在、DDX1の生殖幹細胞での機能を調べるために、コンディショナルノックアウト及びトランスジェニックマウスを作製するためのコンストラクトを作製している。
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