2010 Fiscal Year Annual Research Report
精巣腫瘍における生殖幹細胞発現遺伝子DDX1の機能解析
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20591872
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 貴代子 財団法人東京都医学総合研究所, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40124474)
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Keywords | 生殖細胞 / DDX1 / 精巣腫瘍 |
Research Abstract |
マウス胎仔の雄生殖巣から始原生殖細胞に発現する遺伝子として単離したDEAD-boxファミリーの一つ、Ddx1遺伝子は網膜芽細胞腫でN-mycと共に増幅されていることが報告されているが、生殖系での機能は不明である。マウスGC-1細胞株を用いた結果から、Ddx1が精巣幹細胞遺伝子、腫瘍遺伝子の存在するヒト12p13領域遺伝子の上流にあることが示唆された。ヒト精巣腫瘍細胞株(NEC8)ではDDX1遺伝子の発現増幅していたため、遺伝子増幅と腫瘍形成の関係を調べるためsiRNAにより発現抑制した。その結果、精巣腫瘍の約80%で増幅されている12p13領域の遺伝子の発現低下がみられ、ソフトアガーでのコロニー形成率、ヌードマウスでの腫瘍形成能が低下した。また,正常精巣組織に比べ、セミノーマ,ノンセミノーマでは発現が非常に高かったことからも、DDX1遺伝子の発現増幅が精巣腫瘍形成に関与していることが示唆された。 個体におけるDDX1遺伝子の生殖系での役割を調べる為に,コンディショナルトランスジェニックマウス及びコンディショナルノックアウトマウスを作製した。コンディショナルトランスジェニックマウスは誕生し、生殖系特異的なプロモーターngn3/Cre-Tgマウスと交配した。DDX1遺伝子は、同腹からのコントロールマウス精巣に比べ、Tgマウス精巣では約2倍の発現量を示した。さらに、別のラインも作製し、DDX1の発現量の違いによる精子形成過程のおける影響を比べる予定である。 また、コンディショナルノックアウトマウスはキメラマウスが誕生し、ジャームラインにのったファウンダーを得た。Cre-Tgマウスを用いてホモ接合性マウスを作出したが、5'側のloxPサイトがはずれてしまったことが判明したため、再度キメラマウスの作出を行っている。
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