2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591880
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
齊藤 源顕 Tottori University, 医学部, 准教授 (60273893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 ゆか子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50032214)
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Keywords | 急性尿閉 / プレコンディショニング / 過活動膀胱 |
Research Abstract |
ラットで動脈分岐部を遮断し、膀胱を30分間の虚血-60分間の再灌流するモデルを用いてプレコンディショニングの効果を確認した。膀胱を摘出後、恒温槽を用いた平滑筋の機能を観察した。5分間3回のプレコンシショニングで膀胱平滑筋の機能が優位に予防できる事が確認できた。このとき、虚血-再灌流やプレコンディショニングは膀胱を収縮するメカニズム(ムスカリンM3受容体)に変化を与えない事が確認できた。 ラット急性尿閉モデル(SDメスラッット3ml、60分間)を作成し、60分後導尿し、3日1、2、3、4週間後にラットの排尿動態をメタボリックケージを用いて観察した。また、2、4週間後には膀胱内圧測定を恒温槽を用いた平滑筋の機能を、また組織学的検討ではH&E染色とマッソンとリクローム染色を行い観察した。排尿動態では3日後から著明な頻尿状態となり、約3週間持続した。しかし、膀胱内圧測定やアセチルコリン値よびKC1刺激による収縮力の変化は認められなかった。組織学的検討では2週目は炎症の持続が観察されたが、4週間後では繊維組織の増加が粘膜下層と平滑筋層で確認できた。 以上の結果から膀胱平滑筋にも虚血-再灌流障害に対する防御メカニズムであるプレコンディショニングが存在する事が明らかになった。また、急性尿閉とその解除モデルが過活動膀胱のモデルとして使用できる可能性が示唆された。特発性過活動膀胱は、膀胱の慢性虚血による膀胱部分的除神経が一因とされているが急性尿閉とその解除後に起こる現象が、過活動膀胱の機序を解明知る手がかりになるかもしれない。
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