2010 Fiscal Year Annual Research Report
勃起(海綿体)神経の再生医療-神経栄養因子による遺伝子治療と神経再生の機序の研究
Project/Area Number |
20591883
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
久末 伸一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90404673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 浩平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40404678)
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Keywords | 勃起障害 / 神経栄養因子 / neurturin / 神経再生 / 神経機能回復 / リハビリテーション / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
前年度までの研究でウィルスベクターを用いて、神経栄養因子neurturinを神経損傷後の海綿体神経に導入し、勃起能回復や海綿体神経再生促進が示された。また、パートナーである雌の存在が勃起能回復を促進することが示された。今後のヒトへの遺伝子治療の応用も視野において、ヒトの海綿体神経の解剖について新たに前立腺周囲の勃起神経の神経線維分布についても検討を行い、術前から勃起障害がある患者の前立腺周囲の海綿体神経分布が減少していることがわかった。 1.ヒト海綿体神経の解剖学的再検討 ヒト海綿体神経に特異的なnNOSをマーカーとしてヒトの前立腺周囲の神経走行について免疫染色で検討した。その結果、勃起能によって神経線維分布に違いが存在する可能性が示唆された。神経線維分布は勃起障害患者の前立腺尖部で増加しており、特に神経血管束と呼ばれる領域で大きかった。これは今後、神経温存手術の戦略を立てるうえで極めて重要と考えられる。 2.ヒト前立腺周囲の神経節細胞の分布の検討 ヒト前立腺周囲にも神経節が形成されていることが明らかとなり、nNOS陽性の神経節細胞の分布が認められた。術前の臨床的パラメーターと多変量解析を行うと、神経節細胞は若年患者で増加していることが明らかとなった。これまで加齢によりnNOS陽性の神経細胞が減少することが動物実験で示唆されてきていたが、ヒトで確認できたのは初めてである。加齢により海綿体神経機能回復が低下する主原因と考えられ、今後の臨床において大きな役割を有するものと思われる 3.内臓脂肪と術前勃起能の関連 前立腺がん患者の術前CT画像から内臓脂肪を算定し、それと術前の勃起能の関連について検討した。内臓脂肪と勃起障害の程度は相関していることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)