2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591896
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 良平 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20324410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20182636)
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Keywords | 腹腔鏡手術 / 気腹圧 / 腎微小循環 |
Research Abstract |
低侵襲性のため多くの分野で腹腔鏡手術の適応の拡大を認めるが、気腹圧下での腎機能へ及ぼす影響については明らかではない。気腹圧により影響を受ける腎微小循環を豚腎にて直視下に観察し、その影響を調査した。(方法)生後6ヶ月の豚6頭(雌)、左腎を対象とした。ケタミンを使用した全身麻酔下に手術を行った。術中の麻酔下管理は心電図、中心静脈圧(CVP)、尿量、輸液速度をモニタリングして行った。手術中は点滴液を静脈内に注射し、このstudyの間、輸液速度は40ml/hrに設定し、麻酔条件を一致させた。術中の体位は右側臥位として経腹的到達法にて腎周囲脂肪識を剥離し、腎実質表面を露出した。気腹圧を5mmHg→10mmHg→15mmHg→20mmHg→25mmHgと段階的に上げ、それぞれの気腹圧で5分間、維持し、腎尿細管周囲毛細血管赤血球速度を測定した。同じ気腹圧において同時に腎動脈本幹の血流を電磁流量計にて測定をした。その後、開腹をし、コントロールとして気腹圧なしでの腎尿細管周囲毛細血管赤血球速度(CPC)及び腎動脈血流を計測した。それぞれの対象において、多数箇所の微小循環の測定を行った。(結果)気腹圧を上げるとともに、腎尿細管周囲毛細血管赤血球速度の減少を認めた。0mmHg(開腹)と10mmHg、10mmHgと15mmHgでは有意差を認めた。気腹圧が25mmHgに達すると、そのほとんどの赤血球に動きが認められなかった。この際、vital-sign(arterial pressure、CVP、Heart rate)に大きな変調はきたさなかった。ここで気腹圧を10mmHgに戻すと、腎尿細管周囲毛細血管赤血球速度はすぐに回復した。一方、腎動脈の血流速度には気腹圧の上昇による変化を認めなかった。(結論)動物実験にて直視下で腎尿細管周囲毛細血管、赤血球を観察し、気腹圧が腎周囲毛細血管血流に与える影響、適切な腎微小循環に影響を与えない気腹圧を、明らかにした。
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