2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591901
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
早川 邦弘 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00198821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星長 清隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30229174)
日下 守 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40309141)
佐々木 ひと美 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00319261)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ドナー年齢 / レシピエント年齢 / 温阻血時間 / 総阻血時間 / 摘出時クレアチニン値 / グラフト生着率 |
Research Abstract |
平成20年以降のデータ集積を本年度までをもって打ち切りとして行った最終解析でもこれまでの知見の妥当性が示された。前向き研究ではドナー年齢による層別解析において危険因子の一部に統計的有意差が得られなかったデータもあるが、症例数の違いと考えている。すなわち年齢60歳以上と50歳から59歳までの腎臓で高血圧の既往または脳血管死亡の群における心停止ドナーからの腎臓は、レシピエントとして30歳未満の若年者ではなく、30歳以上に移植した方が生着率や期間などが有意に優れていると考えられた。早期腎機能発現症例に関しても、摘出直前クレアチニン2.0mg/dl以下、総阻血時間6時間未満、レシピエント年齢25歳未満が良好な結果が得られる事を結論づけた。このことは、データを追加しての今回までの過去5年間における前向き、後ろ向き解析でも同様に有意の結果であった(P<0.01)。すなわちこれまでの結果同様、データを追加しての検討でも良好な摘出直前クレアチニン値と短い総阻血時間、さらに若いレシピエントへの移植が早期腎機能発現を得る上で重要な要因であることが更に多くのデータを元にして裏付けられたと結論した。 一方、共同研究者を中心として進めたグラフトの機能回復の指針となるバイオマーカーの開発では、分泌タンパクに着目して候補遺伝子を選択し、neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)に加えtissue inhibitor of metalloproteinases 1(TIMP-1)が有力な指標となることが示唆された。すなわち献腎移植においては移植後機能発現までの間長期に透析を要した症例では、移植後のpeak TIMP-1値が高く移植前値との差は機能発現を要するまでの期間と相関を認めた。NGALの値は移植された腎臓が機能に関する指標として有用であることが示され、適切なCut off値を術後第1、2病日に定めることにより、移植腎機能血清クレアチニン3mg/dl以上の郡を感度91~80%、特異度96~89%で判別可能であり、機能発現に7日以上を要する郡を判別することも感度82~73%、特異度82~85%で可能である結果を得た。
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