2008 Fiscal Year Annual Research Report
心磁計測を導入した新しい系統的胎児不整脈検査・診断システムの構築
Project/Area Number |
20591906
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱田 洋実 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研発科, 准教授 (60261799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 真奈 筑波大学, 大学院・人間總合科学研究科, 講師 (20420086)
小倉 剛 筑波大学, 大学院・人間總合科学研究科, 講師 (40451702)
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Keywords | 出生前診断 / 超音波診断 / 心磁計測 / 先天性心疾患 / 先天性房室ブロック |
Research Abstract |
胎児不整脈に対する新しい有効な検査・診断システムの構築という大きな目標を達成するために、本研究では、いわばモデル疾患として先天性房室ブロックに着目し、新規に胎児心磁計測を導入した系統的出生前検査・診断システムの試験的構築、運用を目指している。 この目的達成のために、本年度は、抗SS-A(Ro)抗体陽性妊婦(ELISA法による抗体価≧10.0U/ml)とコントロール妊婦について、妊娠28週、妊娠32週、および妊娠36週時に、心臓磁気計測システムを用いた胎児心磁計測、Bモード、Mモード、ドプラ法による総合的胎児心臓超音波検査、および胎児心拍数曲線解析を行った。出生した児については出生後12ヶ月まで心電図を追跡すべく、心電図解析を開始した。また、各種の胎児心疾患において、その心機能評価として同様の心磁計測、超音波検査等を施行した。 その結果、全体の4.2%の妊婦が抗SS-A抗体(Ro)陽性妊婦であることが明らかとなった。これらの陽性妊婦においては、出生前の心磁計測においても生後の心電図検査においても先天性房室ブロック所見が得られた児はいなかった。しかしながら、超音波検査所見も含めてその出生前検査所見はくいずれも出生後の所見と一致することが確認できた、また、陽性妊婦から出生した児において1例、生後1週以内での心電図検査においても一過性のQT延長が同定され、この症例については現在心電図の追跡を行っている。これらの成果は、我々の系統的出生前検査・診断システムが不整脈胎児に恩恵をもたらす大きな意義があること、およびその重要性を示すものであると考えられた。また、他の胎児心疾患においてもこのシステムが応用できることが明らかとなった。 以上のように、本年度は概ね当初の計画どおりに研究を遂行することができた。
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