2008 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠の成立と維持における胎盤炎症反応系の生理的・病理的役割に関する研究
Project/Area Number |
20591907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 知行 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (40209010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川名 敬 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (60311627)
兵藤 博信 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (00436495)
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Keywords | 胎盤 / 炎症 / 絨毛細胞 / CD1d / オートタキシン |
Research Abstract |
平成20年度は、妊娠の成立と維持における胎盤炎症反応系の生理的役割に関する研究のうち、トロホブラスト上に発現されているCD1d抗原の妊娠における意義については、まず、トロホブラスト分化一次培養系を用いて、その発現調節に関する検討を行った。その結果、妊娠初期胎盤から分離された、未分化な細胞性トロホブラストは、絨毛外トロホブラスト(EVT)に分化するにつれ、サイトカインtransforming growth factor-beta (TGF-beta)を分泌するようになることが明らかになった。さらに培養トロホブラストにTGF-betaを添加すると、CD1d抗原の発現が減弱し、抗TGF-beta抗体を添加することにより、CD1d発現が回復することが分かった。未分化な細胞性トロホブラストに強く発現されているCD1d抗原は、浸潤性のEVTに分化するにつれて減弱するが、これはトロホブラストが分泌するTGF-betaにより、autocrine, paracrine的に調節されていることが判明した。また、オートタキシン(ATX)/リゾリン酸(LPA)系の妊娠における意義については、まず、正常妊娠胎盤におけるATX発現の有無とその発現部位の検討を行った。妊娠初期、中期、後期(分娩開始前)の胎盤を人工妊娠中絶時あるいは帝王切開時に採取し、ATXタンパクの発現を、免疫組織化学染色により検討した。その結果、ヒト胎盤において、ATXタンパクは発現されており、主としてトロホブラストに発現されていることがわかった。ATXの発現、絨毛合胞体トロホブラスト、絨毛細胞性トロホブラスト、そしてEVTの、すべての種類のトロホブラストに認められた。以上より、妊娠中に血清中に特異的に上昇するATXは、主として胎盤により分泌されていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)