2008 Fiscal Year Annual Research Report
羊水塞栓症の原因究明と羊水塞栓症からDICを発症する機序に関する血清学的研究
Project/Area Number |
20591911
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀内 健太郎 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教授 (30089841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
杉村 基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (30273189)
杉原 一廣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00265878)
|
Keywords | 羊水塞栓 / 捕体 / 破水 |
Research Abstract |
羊水塞栓症の発症機序として、破水後羊水中の異種抗原が母体にアナフィラキシーショックを起こすことが示唆されている。破水は母体免疫系が羊水に曝露される状態と考えられるが、破水が母体免疫系にどのような変化を与えるかについてはほとんど検討されていない。破水が母体の免疫系、血液凝固系に与える影響について研究した。 [方法]インフォームドコンセントが得られた65例の妊婦について検討を行った。自然経腟分娩39例、吸引分娩5例、選択的帝王切開13例、緊急帝王切開8例であった。これらの症例に対して入院時、破水直後、分娩後に血清および血漿を採取した。採取された検体のC3、C4及び血液凝固XII因子活性(XII因子)について測定した。 [成績]C3は破水前と比較し破水後に65例中42例に低下し、分娩時には65例中62例が低下した。平均の下降率は破水後4.25±9.0%、分娩時14.8±8.9%であった。C4も同様な変化を示した。XII因子は破水前と比較し分娩時に65例中51例低下した。ハイリスク分娩ではその変化が顕著に見られた。C3、C4の低下が著しい症例程XII因子活性の低下も高度であった。 [結論]破水により母体の補体系とXII因子が活性化することが明らかになった。補体の活性化がXII因子を活性化する「接触系による血液凝固活性化」が知られている。破水がこの系を作動させることが初めて示された。羊水による接触系の活性化は羊水塞栓症によるDICの発生と関連する可能性がある。また過去に浜松医科大学に送付された羊水塞栓症の血清中のC3,C4の平均値はそれぞれ74±39mg/dl(正常値80〜140mg/dl)、15±9mg/dl(正常値11〜34mg/dl)であり正常値を下回っていることが判明した。破水時に活性化される補体系が羊水塞栓症では強度に活性化している可能性が示唆された。
|
-
[Presentation]2008
Author(s)
金山尚裕
Organizer
第3回総合周産期実践医(GPP)育成セミナー
Place of Presentation
仙台
Year and Date
20081000
-
-