2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症よる子宮平滑筋イオンチャンネルの発現亢進と早産誘発機序に関する研究
Project/Area Number |
20591917
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山岡 薫 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (10200586)
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Keywords | ATP受容体 / P2X7チャンネル / 子宮平滑筋 / 早産 / 周産期医学 / パッチクランプ |
Research Abstract |
妊娠ラット子宮平滑筋におけるATP受容体電流が陣痛周期制御あるいは硫酸マグネシウムの子宮収縮抑制機構のひとつであることを報告してきた。この受容体は炎症を伴う早産モデルで発現が著明に亢進することより早産との関連も示唆された。子宮ATP受容体はP2X7チャンネルが機能的主体であると推測してきたが、今回ラット子宮筋からクローニングしたP2X7チャンネル遺伝子を培養細胞に発現させ、その電流と子宮筋ATP受容体電流を比較した。【方法】妊娠19日ラット子宮筋より作成したcDNAライブラリーでP2XのmRNAの発現様式をPCR法により観察した。強発現したP2X7チャンネルをクローニングしCOS-7培養細胞に導入した。24-36時間の培養後単離させたCOS-7細胞からパッチクランプ法により電流を記録した。【成績】各遺伝子を導入したCOS-7細胞にATPを投与すると電流が濃度依存性に活性化されたが、P2X7チャンネル電流は減衰せず、子宮ATP受容体電流と同様な矩形電流であった。P2X7チャンネルは各種アゴニストの効果も(BzATP>>ATP>αβ-MeATP>2MeSATP>UTP>GTP>ADP)同じであり、P2阻害剤スラミンとP2X特異的阻害剤PPADS、特にP2X7受容体の特異的阻害剤であるA438079に対して特に高い感受性を示した。イオン透過性もK>Cs>Li>Naであり子宮平滑筋ATP受容体と一致していた。[結論]P2X7チャンネル電流は子宮平滑筋細胞で観察されるATP受容体電流と性質が一致することより、P2X7チャンネルは子宮平滑筋ATP受容体の主体と考えられ、早産との関連と早産治療薬であるマグネシウム製剤の作用点である可能性が示唆された。
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