2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素を介した生殖戦略:黄体機能調節における生理活性物質としての活性酸素の役割
Project/Area Number |
20591918
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
杉野 法広 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10263782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 博史 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50379947)
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Keywords | 黄体 / プロゲステロン / PGF2α / 活性酸素 / 黄体退縮 |
Research Abstract |
【目的】機能的黄体退縮におけるProstagl and in F2a(PGF2a)の関与が知られている。今回、機能的黄体退縮におけるcyclooxygenase-2(COX-2)-PGF2α系の関与を偽妊娠ラットの黄体退縮において検討した。【方法】1)偽妊娠ラットでの黄体退縮過程におけるCOX-2、PGF2αの変化を検討した。SD系雌ラットを用い、子宮頸管刺激にて偽妊娠を誘導した。1)偽妊娠7日目にPGF2α(3mg/kg body)を皮下投与し、投与後2、6、24時間後の黄体を採取し、血中プロゲステロン濃度、黄体内のPGF2α濃度、COX-2 mRNA発現を測定した。controlとしてPBSを投与した。2)選択的COX-2阻害剤であるNS-398(10mg/kg・body)をPGF2αと同時に皮下投与し、投与24時間後の黄体内PGF2α濃度を測定した。3)PGF2α投与によるCOX-2mRNA発現増加作用の転写因子であるNF-kBが関与するかを検討するため、PGF2α投与30分後に、核内のNF-kBタンパク発現をwestern blottingにて、またCOX-2 promoterへの結合をelectrophoretic mobility shift assay(EMSA)にて検討した。 【結果】1)PGF2α投与により、黄体内COX-2 mRNA発現は2時間後に有意に増加し、黄体内PGF2α濃度は24時間後に有意に増加した。2)PGF2α投与による24時間後の黄体内PGF2α濃度の増加は、NS-398投与により抑制された。3)PGF2α投与30分後の核内のNF-kBタンパク発現は有意にぞうかした。また、NF-kBのCOX-2 promoterへの結合をEMSAにて確認した。【結論】黄体退縮期において、黄体内のCOX-2発現とPGF2α濃度の増加がみられた。PGF2α投与によりCOX-2発現とPGF2α濃度の増加がひきおこされたことから、機能的黄体退縮におけるPGF2αの産生には、PGF2αによるCOX-2を介したPGF2α産生増加という機序が関与していることが考えられた。さらに、PGF2α投与によるCOX-2発現には、転写因子であるNF-kBの活性化が関与することが明らかとなった。
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