2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症の病態の解明と新しい視点に基づく治療法の確立
Project/Area Number |
20591920
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
奈須 家栄 Oita University, 医学部, 准教授 (30274757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 正和 大分大学, 医学部, 助教 (90404384)
弓削 彰利 大分大学, 医学部, 助教 (90452911)
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
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Keywords | 子宮内膜症 / 瘢痕化 / アポトーシス / 筋線維芽細胞 / Rho-ROCK pathway / 脱落膜化 / ヘパリン / Contractility |
Research Abstract |
子宮内膜症は全女性の3-10%に発生し、慢性骨盤痛、月経痛、性交痛や不妊などの症状を呈する。そのため子宮内膜症患者のquality of lifeは著しく低下する。本研究は、(1)子宮内膜症と免疫異常、(2)子宮内膜症とapoptosisの異常、(3)子宮内膜症と瘢痕形成の3つの観点から、子宮内膜症の病態の解明と新しい視点に基づく治療法の確立を目的として行った。 本年度は特に、子宮内膜症における癒痕形成のメカニズムの解明と新しい治療法の確立にっいて、培養子宮内膜症細胞を研究材料として、各種の細胞生物学的手法、分子生物学的手法をもちいて、検討した。 その結果、子宮内膜症細胞では、脱落膜化により筋線維芽細胞への分化が抑制され、collagen Iのreceptorであるintegrin α1、α2、β1の発現が抑制され、Rho-ROCKpathwayの活性化が抑制されることにより、contractilityが低下し、瘢痕化が阻害されることが分かった。この研究結果により、子宮内膜症の治療薬として臨床に用いられている低用量経口避妊薬やプロゲスチンの作用機序の一部が解明された。また、抗凝固剤として広く用いられているヘパリンは子宮内膜症細胞の筋線維芽細胞への分化を抑制するとともに、Rho-ROCK pathwayの活性化を抑制し、contractilityを低下させることが分かった。ヘパリンは副作用が少なく、安全性が高いため、子宮内膜症による瘢痕化の治療薬としてだけでなく、発症や進行の予防にも役立つと考えられた。 今後さらに本研究を発展させることにより、子宮内膜癒の病態がさらに解明され、新しい視点に基づく治療法の確立に寄与するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)