2009 Fiscal Year Annual Research Report
PCOSモデルとして、男性ホルモン投与性同一性障害症例を応用した研究
Project/Area Number |
20591922
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 俊明 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (90213595)
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Keywords | 性同一性障害 / 男性ホルモン / 多嚢胞性卵巣症候群 / インスリン抵抗性 / adiponectin |
Research Abstract |
当科でフォロー中のfemale to male transsexuals (FTM)に対して、アンドロゲン投与症例のうち10名の少なくとも1年間以上のテストステロンを投与した症例を性適合手術の際に、血中ホルモン、卵巣組織検査の結果を検討した。 またアンドロゲン開始後1月毎に半年間にわたって、卵巣形態、血中ホルモン値、インスリン抵抗性の指標としてHOMA-IRを検討した。 性適合手術時の検査データとして (1)内分泌学的特徴としては、血中総テストステロン、遊離テストステロンは成人男性レベルに上昇している症例が多かった。ただ、LH、FSHに特徴的変化はなかった。一方エストラジオールは、正常排卵周期婦人レベルが確保されていた。(2)糖代謝に対する影響としては、半数の症例でインスリン感受性adipocytokineであるアディポネクチンの低下がみられた。インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRが上昇している症例は2名で、テストステロン投与による特異的変化かどうかは不明であった。(3)卵巣組織は、polycysticな形態をとるものもあったが、そうでないものもあった。 そのほかの特徴として、間質の増生が認められるものもあった。黄体など、最近排卵したことを示す所見はいずれの症例でも認められなかった。(4)全症例において、無月経、声の低下、男性型多毛、陰核肥大が認められ、テストステロン効果は十分であった。 アンドロゲン投与開始後1カ月毎の変化 (5)アンドロゲン投与開始1カ月毎に検査している1症例では顕著な変化としては血中総テストステロン、遊離テストステロン値の上昇はあったが、その他の大きな変化はなく、半年までの間にはPCO形態は取らなかった。 FTM対するアンドロゲン投与が、ヒト女性によるPCOSモデルとして研究中であるが、現在までのところ、いわゆるPCOS化効果として部分的であり、今後詳細な検討の予定である。
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Research Products
(2 results)