2008 Fiscal Year Annual Research Report
不育症病態における着床期子宮内膜血流障害の存在と抗血液凝固療法の治療効果の検討
Project/Area Number |
20591924
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
尾崎 康彦 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (50254280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 真弓 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30264740)
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Keywords | 不育症 / 着床 / 子宮内膜 / 血流障害 / 抗凝固療法 / カルパイン / カルパスタチン |
Research Abstract |
今回我々は反復流産患者の脱落膜におけるカルパイン、インテグリンβ3、αフォドリン、カルパインの内因性インヒビターであるカルパスタチンの存在と役割を検討した。 2回以上の流産歴を持つ反復流産患者29例を対象群に、流産歴のない健常女性20例を対照群とした。稽流流産と診断された患者及び正常妊娠初期の人工妊娠中絶時の脱落膜組織をインフォームドコンセントのもとに検体として得た。平均手術週数は反復流産群8.6±1.5週(6-12週)、人工妊娠中絶群は7.9±1.6週(6-11週)であった。μ-、m-カルパイン、カルパスタチン、インテグリンβ3、αフォドリンに対する抗体を用い免疫組織染色法及び共焦点レーザー顕微鏡にて免疫組織二重染色法を行い脱落膜における各々の局在を観察した。またSDS-PAGE、western blot法を用いて各蛋白の発現を比較検討した。 免疫組織染色法にて脱落膜間質細胞および上皮細胞の細胞質全体にμ-カルパイン、m-カルパイン、カルパスタチン、インテグリンβ3、αフォドリンの染色性が観察された。染色性の局在において対象群、対照群に有意差は認められなかった。免疫組織二重染色法では、μ-カルパインは脱落膜細胞質への限局性をみとめたが、カルパスタチンは脱落膜細胞及び間質への拡散像を認めた。またSDS-PAGE、western blot法における蛋白の半定量検討では、m-カルパイン、カルパスタチン、α-フォドリンでは流産群と正常群の間に有意差は認められなかったが、μ-カルパインは流産群に有意に多く、インテグリンβ3は流産群で有意に少なかった(p<0.05)。 以上より、流産群の脱落膜においてμ-カルパインがより多く発現し活性化され、これによりインテグリンβ3はより多く分解されることが示唆された。妊娠初期の脱落膜において、活性化したμ-カルパインがインテグリンβ3を分解することが、反復流産の病態に関与している可能性が示唆された。
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