2010 Fiscal Year Annual Research Report
不育症病態における着床期子宮内膜血流障害の存在と抗血液凝固療法の治療効果の検討
Project/Area Number |
20591924
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
尾崎 康彦 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50254280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 真弓 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30264740)
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Keywords | 不育症 / 習慣流産 / 着床 / 抗リン脂質抗体症候群 / プロテオリシス / カルパイン |
Research Abstract |
不妊症や不育症(反復流産・習慣流産)において着床期周辺から妊娠極初期にかけての病態が注目されている。不育症においで内分泌療法、免疫療法、抗凝固療法(アスピリン、ヘパリン等)やステロイド療法等により改善できる病態が増加してきてはいるが、着床期周辺から妊娠極初期にかけての不育症の克服は不妊症における着床障害と同様に依然として非常に困難であるのが現状である。 今回我々は不育症患者の脱落膜におけるカルパインの存在と役割を検討した。 免疫組織染色法にて脱落膜間質細胞および上皮細胞の細胞質全体にμ-及びm-カルパイン、カルパスタチン、インテグリンβ3、α-フォドリンの染色性が観察された。染色性の局在において対象群と対照群に差は認められなかった。免疫組織二重染色法ではμ-カルパインは脱落膜細胞質への限局性をみとめたがカルパスタチンは脱落膜細胞及び間質への拡散像を認めた。 W-B法における検討ではm-カルパイン、カルパスタチンとα-フォドリンでは流産群と正常群に差は認められなかったがμ-カルパインは流産群に有意に多く、インテグリンβ3は流産群で有意に少なかった。 非妊娠時血清中抗カルパスタチン抗体は流産群で有意に高値であった。抗カルパスタチン抗体と抗PE抗体に有意な相関は認あられなかった。 これまでの研究で我々はインテグリンβ3が低酸素状態の子宮内膜細胞においてカルパインにより分解されることが子宮内膜機能不全と関連していることを報告してきた。本検討により、反復流産病態において子宮内膜に存在するカルパインの活性化が関与しており、内因性のインヒビターであるカルパスタチンに対する抗体がそのプロテオリシスを制御にていることが認められた。また、同病態におけるカルパインの活性化機構は抗PE抗体やそれが認識するキニノーゲンと関連する可能性は少ないことが示唆された。
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