2008 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠高血圧症候群の血管内皮機能障害改善に向けての栄養管理に関する総合的研究
Project/Area Number |
20591926
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 佳克 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (30254288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 珠生 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20405210)
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70159888)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 血管内皮 / 葉酸 |
Research Abstract |
娠高血圧症腎症(PE)は、高血圧と蛋白尿を主症状とし、母体の血液循環不全や胎児の発育不全を発症する。近年、血管内皮機能障害とその病態形成との関係に注目が集まっている。我々はPEでは上腕動脈における血管内皮機能が減弱し、血液中の血管内皮由来弛緩因子nitric oxide (NO)の基質であるL-アルギニン(LARG)量が減少していることを明らかにした。また、循環器疾患を有する患者への葉酸(FA)の慢性投与はNO機能障害を改善すると報告されている。妊娠初期に血管内皮機能の低下がみられた妊婦の内皮機能異常をFAとLARG投与が改善するか否かを検討した。娠初期(12〜15週)に同意を得て、上腕動脈でのflow mediated vasodilatation (FMD)を測定した。血管内皮機能の低下がみられた妊婦(FMDの1分値が110%以下)に対して、FA0.8mg+LARGlg/日を妊娠16週から分娩まで投与した群(FL(+)群,n=8)。FA+LARGを投与しなかった内皮機能低下妊婦をFL(-)群(n=8)、%FMDが110%より大きい妊婦を内皮機能正常妊婦(C群,n=10)とした。投与前、投与開始3週後、妊娠30週、分娩前にFMD、赤血球内LARGとFA濃度、血清中soluble Flt1(sFlt1)とNOx濃度を測定した。PE症は、FL(+)群1名、FL(-)群3名、C群0名であった。FA(+)群の%FMDは、C群と同程度にまで増加した。FA(-)群は低値のままであった。FL(+)群の赤血球内FA値とLARG値は有意に増加した。LARG値はPE発症妊婦において低下した。しかし、血清NOx濃度は、LARG+FA投与やPE発症に関わらず、変化しなかった。sFlt1濃度はLARG+FA投与に関わらず、PE発症患者において発症前に高値となった。 娠初期から血管内皮機能の低下を認めた妊婦ではPEを高率に発症した。FA+LARG投与は血管内皮機能を改善し、PIHの発症を予防する可能性が示唆された。LARG値の低下は、PE発症に関係し、その摂取はPEの発症を予防する可能性がある。
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Research Products
(5 results)