2009 Fiscal Year Annual Research Report
SCC抗原の結合分子の検索と機能解析、臨床的意義の解明および分子標的治療への応用
Project/Area Number |
20591950
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 明弘 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 講師 (70379965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縄田 修吾 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294625)
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Keywords | carbonyl reductase / 癌の浸潤・転移 / 分子標的治療 / 癌の予後診断 |
Research Abstract |
[研究目的]SCC抗原の持つ生物活性について当教室から報告してきた。しかしながらSCC抗原の分子作用機構や細胞内結合分子については明らかでなかった。プロテオーム解析の結果、SCC抗原の結合分子としてcarbonyl redqctase(CR)を同定した。(論文として報告Murakami A Int J Oncol, 2010)さらに、CRの機能を解析し、リンパ節転移、再発・予後との関連性を検討し、臨床的意義を明らかにする。また、CRを標的とした新たな予後診断あるいは分子標的治療を開発することを研究の目的とする。以下、平成21年度の研究成果を報告する。 1. CRの臨床的意義の解明 子官頸癌症例を免疫組織染色し、その発現パターンを解析した結果、原発巣でのCRの発現が低下している症例では骨盤リンパ節への転移が有意に多く、再発・予後に関して不良であった(この結果は特許出願しWeb上で公開となっている)。また、CRの発現低下は再発の独立因子となっている。以上の結果よりCRは子宮頸癌の予後を判定し、追加治療の必要性についてCRの発現パターンに応じた個別化の指標となりうる重要な結果が得られた(論文作成中)。 2. CRの分子機能 CRの機能を解析するために子宮頸癌細胞にCRのセンス、アンチセンスcDNAを遺伝子導入して解析した。アンチセンスcDNAを導入したクローンでは細胞の移動能・浸潤能が亢進していることが分かった。その分子機構としてアンチセンスではCOX-2の過剰発現を誘導し、その結果PGE2の発現亢進を誘導していた。PGE2は癌の浸潤・転移機構に重要な役割を果たしていることが明らかになっているが、CRの関与する分子機構について、詳細なデータについて解析中である。
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