2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質とトランスポーターの発現を指標にした卵巣癌の抗癌剤治療の適正化
Project/Area Number |
20591965
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木口 一成 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 教授 (60101911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30445879)
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Keywords | 糖鎖抗原 / 婦人科癌 |
Research Abstract |
細胞の癌化に伴い細胞膜中の糖脂質組織が変化することが知られている。また癌細胞を免疫原としたモノクローナル抗体の作成により得られた各種腫瘍マーカーの認識抗原が糖脂質であることが明らかとなり、さらに癌細胞と血管内皮細胞やリンパ球との接着に関与するセレクチン分子の認識抗原が癌細胞上に発現されるsialyl Le^xや硫酸化脂質のスルファチドであることが解明された。このように糖鎖抗原は癌細胞のマーカー分子として、又細胞接着因子としての役割を担っている。 そこで我々は異なる組織学的分類に入るいくつかの卵巣癌の分子的特徴を調べるため、我々は卵巣の漿液性および粘液性嚢胞腺癌、類内膜癌および明細胞腺癌の組織における脂質および糖脂質を比較した。検査した複数の組織では遊離コレステロール量に有意差は認められなかったが、漿液性嚢胞腺癌のエステル化コレステロールおよびスフィンゴミエリンの量にはその他の組織に比較して上昇がみられた。粘液性嚢胞腺癌においては、GalCer、スルファチドおよびLebは総糖脂質の60%を含んでいたが、このかなり単純な組成は他の組織においては認められなかった。ところが、Lewis-activeな糖脂質、Le^x、Le^y、Le^b、およびシアリルLe^aは漿液性嚢胞腺癌以外の組織において検出され、漿液性嚢胞腺癌では他の組織よりもはるかに高い量でIV^6NeuAc-nLc_4Cerが発現されており、このことはラクト系糖脂質の末端Neu2-6-Gal構造および内部Fucl-3/4GlcNAc構造の代償性発現を示唆している。したがって、漿液性および粘液性嚢胞腺癌は、卵巣癌の臨床診断のために役立つユニークな脂質成分を含んでいることが明らかとなった。
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