2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質とトランスポーターの発現を指標にした卵巣癌の抗癌剤治療の適正化
Project/Area Number |
20591965
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木口 一成 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60101911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30445879)
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Keywords | 卵巣癌 / 糖脂質 / ABCトランスポーター / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
細胞膜を介した物質の取り込みと排出は細胞の生存にとって不可欠である。なかでも、ATPを用いて物質輸送を行う各種ABCトランスポーターの役割が、癌細胞の抗癌剤耐性に関わる因子として注目を集めている。同時に、抗癌剤の作用によって癌細胞が死滅する際にスフィングミエリン(SM)の分解によって生成するセラミドがアポトーシスへの誘導シグナルとなることから、セラミドを糖脂質へと変換しアポトーシスを回避することによる抗癌剤耐性機構も明らかになっている。そこで研究の一貫として、抗癌剤耐性になった卵巣癌細胞と感受性細胞の間の糖脂質組成のみならずセラミド鎖の分子種の変化についても観察し、糖脂質組成を比較した。その結果を以下の5点にまとめ報告する。 1. 中性スフィンゴ糖脂質のGlobo系列に属するGb_3Cerは、CDDP/Taxol耐性の違いなく抗癌剤耐性卵巣癌細胞において増量していた。 2. 糖鎖にシアル酸が付加したガングリオシドについてはGM_3、GM_1がタキソール耐性細胞において感受性細胞に比し増量していた。 3. セラミド鎖の分子種については、抗癌剤耐性株(CDDP/Taxol共に)においてαHydroxy fatty acidが主成分であった。 4. ABCトランスポーター遺伝子MDR-1の発現は、タキソール耐性細胞においてのみ増幅がみられた。 5. 抗癌剤投与によるスフィンゴミエリナーゼ(SMase)の活性化によるセラミド産生、それに続発するアポトーシスを回避する糖脂質の産生メカニズムが観察された。 以上の結果より、糖脂質セラミド鎖と糖鎖は、細胞膜上のラフト構造にあってトランスポーター活性を調節している可能性が示唆された。
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Research Products
(12 results)