2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591968
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 猛史 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40241608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (50169728)
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Keywords | 耳管 / 耳管開放症 / 生食点鼻 / 体重減少 |
Research Abstract |
中耳・耳管粘膜の分泌に関する研究は中耳炎発症機序の解明に重要である。耳管の病的状態の発来は単に耳管周囲組織の物理的ボリュームの増減だけによるのではなく分泌機構の大きな関与が推察されている。今年度はまず、ラットおよびモルモットで耳管粘膜上皮細胞、耳管腺それぞれの培養系を確立することを試みた。これら動物の組織標本を作製し、耳管へのアプローチ法、組織採取法を検討した。これら動物ではヒトと比べ、側頭骨、口蓋の形態が異なることに加え、組織量も微量であるため培養に必要な組織量の確保にはさらなる工夫が必要と考えられた。また、ラットでの経時的な耳管機能の変化をみるために受動的耳管開大圧の測定を行った。これを用いることにより耳管分泌と耳管機能との関係を慢性実験で検討できると思われる。臨床データでは、耳管開放症患者に対し生理食塩水を点鼻することにより耳管開放症の症状を軽減・消失させることを日本耳科学会で発表した。この治療法は非侵襲的であるにもかかわらず重症例を含め60%以上の症例に効果を認めた。そのメカニズムは、経鼻的に投与された生理食塩水が耳管内腔を満たし機械的に耳管を閉塞するためと考えられるが、そのほかのメカニズムの存在も考慮された。特に罹病期間と治癒率との関連から、長期罹病例では耳管粘膜に不可逆的変性が生じ、耳管分泌機能の低下が引き起こされている可能性が示唆された。培養細胞による耳管分泌の解析に加え、臨床データの解析、ヒトでの組織学的検討の必要性を認識した。
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Research Products
(1 results)