2009 Fiscal Year Annual Research Report
耳毒性物質による蝸牛障害の成因の解明と治療に関する研究
Project/Area Number |
20591969
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田渕 経司 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80361335)
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Keywords | ゲンタマイシン / 耳毒性 / 内耳性障害 |
Research Abstract |
1.ゲンタマイシンによる耳毒性は有毛細胞障害による永久的障害をきたすことが多く、本障害の軽減は患者の治療鋒のquality of lifeを飛躍的に上昇させる。ゲンタマイシンによる耳毒性に対し、estradiol、 dehydroepiandrosterone等のneurosteroidが保護効果を有することを報告した。ゲンタマイシンによる蝸牛有毛細胞障害に関しては、JNK経路の活性化を介し、アポトーシスを誘導することにより主に起こることを証明した。estradiolの保護効果に関しては幅広い濃度で認められ、JNK経路の活性化を抑制することにより、アポトーシスによる細胞死を防ぐことが判明した。dehydroepiandrosteroneは同様に広い濃度の範囲でゲンタマイシンによる蝸牛有毛細胞障害を軽減した。また、ganglioside等の脂質メディエータの保護効果についても報告した。GM1ガングリオシドおよびGM3ガングリオシドは蝸牛有毛細胞障害を軽減することが分かったが、より高濃度のレンジにおいては逆に蝸牛有毛細胞死を促進する傾向を認め、これらの薬剤の保護効果には濃度依存性が認められることが分かった。本研究は、障害メカニズムの解明、治療法開発を目指しているが、耳毒性と並び問題となる腎毒性に対しても、本研究結果が応用されていく可能性を秘めると考える。 2.耳毒性物質による蝸牛有毛細胞障害から類推される保護機序を考え、音響性障害に対し、カルシウム拮抗薬、NSAIDs等現在臨床使用されている薬物が保護効果を有することを報告した。カルシウム拮抗薬の保護効果はL型拮抗薬で認められたが、N型拮抗薬では確認されなかった。また、NSAIDsの保護効果はCOX1拮抗薬で認められたが、COX2拮抗薬では確認されなかった。
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[Book] Pharmaceuticals-NSAID2010
Author(s)
Hoshino T, Tabuchi K, et al.
Publisher
Effects of NSAIDs on the Inner Ear : Possible Involvement in Cochlear Protection(In press)