2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591970
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻 茂希 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90375501)
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Keywords | 内耳性難聴 / フリーラジカル / 内耳虚血 / 虚血再灌流障害 / 薬剤性内耳障害 / 音響性障害 |
Research Abstract |
内耳性難聴の成因・メカニズムを解明し、その予防法、治療法を開発することを究極の目標として本研究を行っている。現在までに内耳循環障害、音響性障害それぞれのモデル動物を用いて各種薬剤の効果を検討し、蝸牛障害のうち特に循環障害と音響障害の病態につき研究を重ねてきた。 本年度の研究としては、虚血性内耳障害モデルを用い、内耳虚血再灌流障害の進行機序に関して特に内有毛細胞、外有毛細胞、蝸牛求心性神経の形態学的変化を電子顕微鏡にて観察した。また本障害の進行におけるフリーラジカルの関与につき各種薬剤投与による影響を検討した。 結果として虚血中は蝸牛の上記のいずれの細胞でも障害が進行したが、再灌流後には内有毛細胞、蝸牛求心性神経では障害が軽減し、外有毛細胞が障害の主座となることが示された。また、ハイドロキシラジカルの補足剤であるmannito1、dimethylthiourea(DMTU>および鉄のキレート剤であるdeferoxamineの投与により再灌流後の外有毛細胞障害は軽減された。しかし、xanthineoxidase阻害薬であるallopurinol、oxypurinolは影響を与えなかった。以上より本外有毛細胞障害には蝸牛内に発生するハイドロキシラジカルが大きく関与することが示され、ラジカルの発生には遊離鉄によるFenton反応が関与することが考えられた。 音響性障害や薬剤性内耳障害にもフリーラジカルが関与していることは明確である。今後は、音響性障害のモデル動物におけるNOS阻害薬やフリーラジカルスカベンジャーなどの保護効果を引きつづき検討するとともに、蝸牛を器官培養し、直接的に耳毒性薬物、低酸素などが蝸牛に与える影響を観察する手法も加え、内耳性難聴め成因・メカニズムを究明していく予定である。
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