2009 Fiscal Year Annual Research Report
多種類の刺激様式による前庭性高次脳機能応答に関する研究
Project/Area Number |
20591976
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邉 行雄 University of Toyama, 医学薬学研究部(医学), 教授 (10108037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 大匡 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 助教 (50345576)
梅野 克身 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 助教 (90086596)
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Keywords | 機能的近赤外分光法 / 双極子追跡法 / 前庭刺激 / 脳高次機能 |
Research Abstract |
本研究では、前庭刺激に対する高次脳応答に関して、非侵襲的高次脳機能測定法を用いて新たな知見を得ることを目的としている。H21年度は、前年度に構築した刺激呈示システム構築を用いて周辺視野網膜刺激を行い、被験者が体性運動感覚(circular vection : CV)を認知している際の大脳皮質血流反応を近赤外線分光法を用いて測定した。周辺視野網膜刺激は、被験者の全視野をカバーするように設置された半径約500mmの乳白色アクリル製の半球状のスクリーン上に、200cm後方の被験者頭部後上方に設置したプロジェクターから視覚刺激(数本の柱のある建物内部の写真、CW方向に180°/secで移動)を投影した。この時の脳血流反応と、静止画呈示中の脳血流反応を比較し、一般線型モデル(GLM)を用いた統計的解析を行い、CV出現中に有意に血流変化を認めた脳領域を特定した。被験者として健常成人男性6名(右利き、20~35歳平均27.4±2.2歳)を用いた。その結果、両側角回・縁上回、右下前頭回弁蓋部周辺(島の外側)などの空間認知や前庭刺激の認知に関与する脳領域や、両側前頭眼野および補足眼野周辺、右高次視覚野などで有意な血流上昇を認めた。一方、左の二次視覚野では血流の減少が見られた。我々の結果は、fMRIやPETを用いたこれまでの報告と同様、前庭覚関連領域と視覚関連脳領域で血流変化を記録したが、これまでの報告は視覚関連脳領域での血流上昇と前庭関連脳領域での血流減少を指摘しており、我々の結果とはむしろ逆であった。その要因として、視覚刺激の移動速度の違いによって起こった可能性が考えられる。次年度は、移動速度や移動方向刺激条件を変更して大脳皮質の血流変化のパターンがどのように変化するか検討したいと考えている。
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