2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた加齢性難聴および騒音性難聴の病態解明と治療への応用
Project/Area Number |
20591979
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺西 正明 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 講師 (20335037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 務 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30180277)
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Keywords | 加齢 / シグナル伝達 / 難聴 / C57BL / 6 |
Research Abstract |
加齢による難聴は高齢者の生活の質を大いに低下させる。わが国では、高齢者人口の増加とともに加齢による難聴は重大な問題になってきた。加齢による難聴の大部分は感音難聴による。C57BL/6マウスを含め、加齢性難聴感受性遺伝子座Ahlをもつマウス系統は、騒音性難聴にも感受性があり、加齢性難聴と騒音性難聴の発症には、共通の遺伝子の関与も示唆され、加齢性難聴と騒音性難聴において、その発症要因は大いに関連がある。C57BL/6マウスでの実験結果では、7週齢に比べて7-8ヶ月齢では聴力低下とともに、免疫組織学的手法により、内耳蝸牛でのDNAの酸化ストレスマーカーである8-OG(ハイドロキシグアノシン)はラセン神経節細胞では発現増強を認めた。ニトロチロシンは強いラジカルであるペロキシニトレートのマーカーであるが、ニトロチロシンは7-8ヶ月齢のマウス蝸牛では、ラセン神経節や蝸牛外側壁、コルチ器で発現増強していた。蝸牛タンパクの網羅的解析では、326種類(Unused(Conf)Cutoff>2.0(99))のタンパクを認めたが、pathway解析により、加齢に伴い、電子伝達系関連のタンパク発現量の変動が多かった。抗酸化作用のあるペロキシレドキシンの発現低下も認め、加齢による難聴において、内耳蝸牛での酸化ストレスの増加に関与することが示唆された。蝸牛での活性酸素産生低下のために、有効な抗酸化剤の投与をおこなうことは今後検討すべき課題である。
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