2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイによる内耳病態の解明-ヒト内リンパ嚢遺伝子の動態解析
Project/Area Number |
20591982
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 勝美 近畿大学, 医学部, 教授 (40243224)
|
Keywords | メニエール病 / ヒト内リンパ嚢 / DNAマイクロアレイ / 聴神経腫瘍 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
当科では、難治性メニエール病確実例(年間10-20例)およひ聴神経腫瘍(年間5-10例)に対する外科的治療を施行している。手術時にそれぞれの症例で後頭蓋窩硬膜上にて内リンパ嚢を同定した後、内リンパ嚢遠位部上皮の一部(5×5mm2)を摘出した。メニエール病確実例(MD群)および対照群(聴神経腫瘍症例:AN群)のヒト内リンパ嚢よりRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ・チップ上に存在する多数の遺伝子(HG Focus Arrayでは8,793遺伝子)とのハイブリダイゼーションを行うことにより、難治性メニエール病確実例および対照群の内リンパ嚢に発現する多数の遺伝子群の遺伝子動態を網羅的に解析した。 対照群(AN群)での遺伝子発現量を基準にして、メニエール病確実例(MD群)内リンパ嚢での遺伝子発現量が、3倍もしくは1/3(0.33)倍に変化した遺伝子群を抽出した。MD1で遺伝子発現量が0.33倍以下に低下したものが1214遺伝子(16%)、MD2で遺伝子発現量が0.33倍以下に低下したものが502遺伝子(6.8%)あった。AN1と比較して、MD1とMD2の両者で遺伝子発現量が0.33倍以下に低下したのは322遺伝子であった。HG Focus Array上にカリウムイオン輸送に関連する遺伝子は105遺伝子あり、上述の322遺伝子中に含まれるものとしてKir4.1など3遺伝子が同定された。一方、ストレス関連遺伝子のフォルダ内に含まれる遺伝子は138遺伝子で、上述の322遺伝子群内に含まれるものとしてHSP90など13遺伝子が同定された。 これらの遺伝子群における発現量の変化が、内リンパ水腫の形成に関係するものなのか、あるいは、存在する内リンパ水腫の結果であるのか、さらに解析を進めていく必要がある。
|
Research Products
(3 results)