2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳発生における幹細胞・前駆細胞の増殖・分化制御機構の解明と再生医療への応用
Project/Area Number |
20591983
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 潤子 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80332740)
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Keywords | Notchシグナル伝達系 / 内耳発生 / 感覚上皮予定領域 / Hes1 / p27Kip1 / 細胞増殖 / 未分化性維持 |
Research Abstract |
今年度我々はほ乳類内耳発生における感覚上皮予定領域決定におけるNotchシグナル伝達系の機能を他のシグナル伝達系との関連を含めて検討することを目的としていた。Notchシグナル伝達系が細胞分化のみならず感覚上皮予定領域の決定に関与している可能性については我々の報告も含めて既にいくつかの結果が報告されているが、そのエフェクターについては未だに決定的な報告がないのが現状である。我々はエフェクターとしてHeslに注目しHeslがmRNAレベルでも蛋白レベルでも細胞分化以前の段階で活性化Notchlと非常に密に関連した形式で発現していることを示した。一方でHeslKOマウスを解析し、胎生期蝸牛上皮においてp27Kiplがより早期に発現しBrdU陽性の増殖細胞数が減少していることを観察し論文とした(投稿中)。 一方Notchシグナル伝達系と他のシグナル伝達系の感覚上皮予定領域決定における相互作用の可能性について検討するために今年度はまずPI3K-Aktシグナル伝達系に注目し、研究の第一歩としてリン酸化AktとPTER(PI3K-Aktシグナル伝達系の拮抗因子)の発現について検討した。その結果リン酸化Aktが胎生期マウス蝸牛上皮において発現していること、およびPTENが感覚上皮予定領域決定の直後からこの領域に特異的に発現し以降徐々に有毛細胞に限局していくことを観察した。この結果から予想してきたようにPI3K-Aktシグナル伝達系が感覚上皮予定領域を形成する細胞の増殖および未分化性維持に関与している可能性が示唆されたので次年度は器官培養を用いての機能解析を予定している。
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Research Products
(4 results)