2009 Fiscal Year Annual Research Report
顔面神経麻痺に対するウイルスベクターを用いた治療戦略の基礎的研究
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20591985
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 宏尚 Ehime University, 医学部附属病院, 講師 (90403807)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 顔面神経麻痺 / ベクター |
Research Abstract |
申請者らは、これまでに単純ヘルペスウイルスを用いた顔面神経麻痺モデルを作成し、麻痺の病態やウイルスの感染動態を明らかにしてきた。麻痺は一側一過性に生じ、約2週間で治癒することが明らかなっている。電気生理学的検討から、麻痺は刺激伝導障害の状態で発現する。また、病理組織学的検討から、麻痺の主病態はウイルス感染によって生じる軸索変性であることが明らかになっている。今回の検討では、この麻痺モデルを発展させて、既存の治療法の検討や、ウイルスベクターを用いた神経成長因子などの薬剤を神経に投与することを目的とした。そのために培養した神経にヘルペスウイルスがどのように感染するかを検討した。ラットの神経節を採取し、培養すると軸索が伸張し細胞間にnetworkを形成する。そこに単純ヘルペスウイルスを感染させ、ウイルス動態を共焦点レーザー顕微鏡で観察すると、感染後24時間で、ウイルスは細胞ヵら細胞へ広がることが明らかとなった。一方、ヘルペスウイルスの再外殻であるenvelope上に存在するグライコプロテインEを欠損させたウイルスを神経細胞に感染させると、神経細胞への感染は生じるものの、cell-to-cellへの伝播が抑制され、神経細胞内に長時間とどまることが明らかとなった。このgE欠損単純ヘルペスウイルスをウイルスベクターとして使用することで、神経細胞内へ神経成長因子などを長時間作用させることが期待できる。既存の治療であるステロイドや抗ウイルス剤などと併せてウイルスベクターによる薬剤神経細胞内注入が可能になれば、顔面神経麻痺の新しい治療法となる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)