2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織再生工学を用いた人工鼓膜の作製と中耳真珠腫の病態解明
Project/Area Number |
20591993
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 康広 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (40266648)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
今年度我々は中耳真珠腫の病態解明を行う目的として、まずin vitroでの人工鼓膜の作製を試みた。具体的には採取した中耳粘膜をin vitroにて粘膜上皮成分とfibroblastに分離培養し、これらの培養細胞を用い上皮層は単層上皮、粘膜下はコラーゲン内にfibroblastを加えて結合組織を作製し、上皮層および粘膜下層の2層からなる人工中耳粘膜シートを作製した。サイトケラチンの発現パターンや電子顕微鏡下の観察では、正常中耳粘膜と同様な組織構造が観察されたが、培養により繊毛が減少することが確認された。次に外耳道皮膚より採取されたkeratinocyteを分離したのち培養を行い、keratinocyteとECMからなる鼓膜上皮層にあたる鼓膜上皮シートを作製した。この鼓膜上皮シートを電子顕微鏡下に観察したところ、基底膜、ECM、 tight junctionの存在が確認され、正常な鼓膜上皮層と類似した構造であることが判明した。またinvolcrinの発現様式からは正常に分化する機能を有していることが理解された。この粘膜上皮シートと中耳粘膜シートがECMを介し、表裏一体となるように融合させ、三次元人工鼓膜を作製した。現在、この人工鼓膜の組織像を電子顕微鏡下に観察を行い、また免疫組織学的にサイトケラチンの発現パターンやcaspase-14,PCNAなどから上皮の分化、増殖能を検討しているところである。今後は作製した人工鼓膜を用い、各種サイトカインやケミカルメディエーターを作用させ、実験的に真珠腫の作製を行う予定である。また、真珠腫の成因の一つとして考えられている陰圧や外力などの物理的影響下による人工鼓膜の変化についても観察をしてゆく。現在行っている人工鼓膜を作製し、真珠腫の成因を解明する方法は今まで行われてこなかったin vitroにおける真珠腫の研究に新たな局面を見いだせるものと考える。
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