2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳再生治療を目指して蝸牛外壁線維細胞の再生因子の解明
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20591996
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
孫 廣い Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人客員研究員 (40425773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 達雄 独立行政法人国立病院機構東京医療センター, 聴覚平衡研究部, 室長 (90245580)
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Keywords | 蝸牛外側壁線維細胞 / 骨髄間葉系幹細胞 / TGFβ |
Research Abstract |
蝸牛線維細胞は難聴の発症、聴力の回復、および聴覚の維持に大きく関与していることが知られており、難聴治療には線維細胞の再生が重要である。難聴モデルラットの蝸牛に骨髄間葉系幹細胞(骨髄MSC)を移植した実験では、一部の幹細胞は傷害部位に生着し、聴力においても有意な回復が見られた。C3H成熟マウスの蝸牛線維細砲と骨髄MSCを共培養した実験では、骨髄MSCと蝸牛線維細胞の問で分化と増殖への相互作用が示唆された。骨髄MSC移植による蝸牛機能の回復は、骨髄MSCが蝸牛線維細胞に分化する以外にも、骨髄MSCが蝸牛線維細胞の増殖を促進している可能性が考えられる。 さらに、抗体アレイと抗サイトカイン抗体アレイ法を利用して、骨髄MSCから分泌された線維細胞の増殖促進因子を同定した。その結果、我々は骨髄MSCから分泌された因子の中で特にTGFβに注目した。蝸牛線維細胞に骨髄MSCの培養上清を添加することにより、蝸牛線維細胞の増殖を促進するが、この際TGFβのInhibitorを添加すると、この増殖が阻害された。一方、TGFβの単独添加の培養では、蝸牛線維細胞の増殖が促進されなかった。 これらの結果より、骨髄MSCから分泌されたTGFβは他の因子との相互作用により蝸牛線維細胞の増殖を促進している可能性が示唆される。
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