2009 Fiscal Year Annual Research Report
内耳再生治療を目指して蝸牛外側壁線維細胞の再生因子の解明
Project/Area Number |
20591996
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
孫 廣[イ] Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人客員研究員 (40425773)
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Keywords | 蝸牛外側壁線維細胞 / 骨髄間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
蝸牛線維細胞は難聴の発症、聴力の回復、および聴覚の維持に大きく関与していることが知られており、難聴治療には線維細胞の再生が重要である。難聴モデルラットの蝸牛に骨髄間葉系幹細胞(骨髄MSC)を移植した実験では、一部の幹細胞は傷害部位に生着し、聴力においても有意な回復が見られた。C3H成熟マウスの蝸牛線維細胞と骨髄MSCを共培養した実験では、骨髄MSCと蝸牛線維細胞の間で分化と増殖への相互作用が示唆された。 これらの因子を解明するため、我々はDNAアレイ法を用いて、骨髄MSCやSLFsからの分泌因子を同定した。その結果, SLFの刺激によりMSCで2倍以上誘導されているものは393個であった、低下する(1/2以下)遺伝子は98個であった。その遺伝子が幹細胞分化、Wnt pathway、細胞周期、およびアポトーシスに関連することが明らかにした。一方、MSCの刺激によってSLFsで発現が上昇する遺伝子が321個、低下するのは214個であった。その遺伝子がWnt Pathway、Notch Pathway、おとびTGF-β Pathwaに関連した。 本研究から得られた因子は難聴治療の臨床応用にも新規治療薬としての実現性が極めて高くなると予想される。さらに、内耳再生にかかれる幹細胞の移植も今後の再生医療にとって期待される治療手段である。本研究で同定された因子とともに内耳に投与すると,移植細胞を効率よく傷害部位に接着、増殖、分化することが期待できる。
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