2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンH4アゴニストが結合する新規GPCRの同定と鼻アレルギー治療への展開
Project/Area Number |
20592001
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡野 光博 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60304359)
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Keywords | ヒスタミン / H4受容体 / メラノコルチン1受容体 / メラノサイト刺激ホルモン / IgE / B細胞 / CD40 / IL-4 |
Research Abstract |
我々のこれまで検討で、ヒスタミンH4アゴニストにはアレルゲン特異的なサイトカイン産生抑制作用があり、そのメカニズムのひとつとしてGPCRであるメラノコルチン1受容体発現亢進作用を明らかにした。さらに、メラノコルチン1受容体はリガンドであるα-メラノサイト刺激ホルモンと結合することによりIL-5などのTh2型サイトカイン産生を抑制することを報告した。本年度はH4アンタゴニストにより誘導されるGPCRであるメラノコルチン1受容体を介するシグナルのB細胞機能への修飾作用について検討した。まず、B細胞のCD40発現に対する作用について検討した。ヒト末梢血単核細胞を単離し、α-メラノサイト刺激ホルモンを10-6M~10-12Mの濃度で添加した。培養12、72および120時間後に細胞を回収し、CD19陽性細胞上のCD40発現をフローサイトメーターにて観察した。α-メラノサイト刺激ホルモンの添加によるCD40の発現は、検討した濃度では非添加の場合と比較して陽性細胞比率および頃Mean Fluorescence Intensityのいずれも有意な変化を示さなかった。次いでB細胞のIgE産生に対する作用について検討した。ヒト末梢血単核細胞を単離し、IL-4および抗CD40抗体にて刺激し、7日後の培養上清中のIgE濃度をELISAにて測定した。IL-4および抗CD40抗体での刺激時に、α-メラノサイト刺激ホルモンを10-6M~10-12Mの濃度で添加した。その結果、α-メラノサイト刺激ホルモンの添加によるIgE濃度は、非添加の場合と比較して低下するものの、検討した濃度では有意な差を示さなかった。 以上の結果より、メラノコルチン1受容体を介するシグナルは、T細胞機能、特にTh2型サイトカイン産生に対しては有意な抑制作用を示すものの、B細胞機能に対してはその作用は限定的であることが示唆された。
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