2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592006
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
竹中 洋 大阪医科大学, 学長 (40137162)
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Keywords | 花粉暴露室 / スギ花粉症 / 症状誘発の定量化 / 薬物の効果判定 / 季節外誘発 / RCT |
Research Abstract |
スギ花粉症は25%を超える国民が罹患していると推測される疾患である。特に小中学生ではスギ花粉特異的IgE抗体の保有率が50%弱に達しているとの報告があり、21世紀のわが国の国民病と考えられている。スギ雄花の出来高は気象の影響を受けるため、年ごとにスギ花粉飛散数は大きく異なり、治療法の選択や有効性の検定が問題となっている。その結果多くの抗アレルギー薬が治験においてもスギ花粉症に対する有用性が十分審議されないまま患者に提供されている。スギ花粉症治療の問題点は、恒常的な花粉飛散曝露を再現できるシステムにおいて、ヒトを対象とした臨症研究モデルを作成することが急務である。平成20年度まで、花粉飛散量を設定し、臨床研究が十分可能な数のボランティアが参加して行える花粉曝露実験室の報告はなかった。我々は平成21年度に本科研費を用いて、一群12-18名のボランティアで再現性に富みまた、事前暴露に近い症状発症を起こす花粉曝露実験を報告した。即ち、スギ花粉症症状発現機構の解析が可能となり、抗アレルギー薬の治験が安定して実施できる花粉暴露室と暴露システムを開発した。平成22年度は、平成21年度に実施した抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬や鼻噴無用ステロイド薬の花粉暴露室における効果、並びに花粉暴露室の臨床研究における有用性の共通課題について解析を加えた。具体的に竹中は平成22年5月8日9日に京都国際会館で第22回日本アレルギー学会春季臨床大会を主催し、「気道アレルギーの成立とその制御」(平成21年4月中西書店)を配布した。添付したCDに大阪医科大学における「花粉暴露室の実際の運用」が収録されており、広く日本アレルギー学会会員に「花粉暴露室の有用性」について理解を得られた。また、同学会で「花粉暴露室の実際-抗原暴露室で分かったこと」を共同研究者が発表した。札幌で開催された日本鼻科学会では、耳花粉暴露室の有用性と薬物効果判定について意見を交換した。また、今回の科研費で得られた成果を英文で掲載した。
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Research Products
(3 results)