2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム・プロテオーム解析を用いた頭頸部癌EGFR過剰発現関連分子の同定
Project/Area Number |
20592008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 明宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30312359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 博充 北海道大学, 病院, 助教 (10455652)
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Keywords | 頭頸部癌 / EGFR / ゲノム / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
本研究の最初の課題である頭頸部癌での遺伝子変化を引き続き頭頸部癌細胞株を用いて解析した。前回の報告通り、今回の目的分子であるEGFRのvIII型の変異をもつものは実際の検体では皆無であった。しかし、EGFRの機能に大きく影響を与えるであろうEGFRパスウエイの分子のシグナル伝達活性化に関与するいくつかのmutationを頭頸部癌細胞株で見つけることができた。従来、他癌腫で指摘されていたEGFR阻害剤の効果に影響するであろう遺伝子変化から38種類のCommon Mutationを頭頸部癌細胞株35種類の中から同定することができた。特にEGFRパスウエイの下流のうち、癌細胞の増殖、浸潤に大きく関与するPI3KCA-AKTパスウエイでの遺伝子変化をいくつかの細胞株で同定できた。さらにPI3KCAの変異については、そのタンパク構造の変化に対するも検討を行っている。実際にmutationによりPI3KCAのポケット状構造にあたる部位にアミノ酸変化をおこした口腔癌由来の細胞株ではリガンドの有無によらずに、その下流の活性化が起こることを突き止めている。今後は、これらの変異を認めた頭頸部癌細胞株を用いて、リガンドや阻害剤の有無による下流の活性化の変化を追うことで、その効果のメカニズムの解明にあたりたい。この遺伝子変化はこれまでに非肺小細胞癌でその近位に遺伝子変化があることが分子標的治療の効果に違いが生まれることが報告されており、頭頸部癌でも同様の機構があることが予測される。これによりこの遺伝子変異によって起こるであろう頭頸部扁平上皮癌の治療効果の変化だけでなく副作用の予測マーカーとしても可能性があり、さらには当該分子を標的とする分子標的治療も開発段階である。従来の抗癌剤との併用や放射線治療との併用によるより一層の頭頸部癌治療の予後改善へのブレイクスルーとなることを期待したい。
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Research Products
(9 results)