2008 Fiscal Year Annual Research Report
下咽頭癌の遠隔転移を引き起こす神経ペプチドシグナルの解明
Project/Area Number |
20592011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
花澤 豊行 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (90272327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50345013)
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Keywords | 癌 / ゲノム / マイクロアレイ |
Research Abstract |
下咽頭癌患者21検体からtotal RNAを抽出し網羅的な遺伝子発現解析を行った結果、神経ペプチドであるNeurotensin(NT)の発現が亢進していることが明らかとなった。そこでNT分子に注目し、頭頸部扁平上皮癌患者38名についてNT遺伝子の発現を確認した。mRNAの発現を中央値で2群に分け検討した結果、NT高発現群ではNT低発現群に比べ有意に遠隔転移の無再発期間が短い事が判明した。更に、NTのレセプター遺伝子であるNeurotensin Receptor 1(NTR1)の遺伝子の発現についても検討した。NTおよびNTR1が高発現している患者では明らかに無再発期間が短く、NTとNTR1のシグナル伝達は癌の遠隔転移に大きな役割を担っている事が示唆された。 そこでこれら臨床における知見を分子レベルで明らかとするため、頭頸部扁平上皮癌由来細胞株(HSC-2、HSC-3)を用いて機能解析を行った。細胞株にNTのアゴニストであるJMV449を加えるとコントロールに比べ細胞株の浸潤能(Matrigel invation assayおよびWound healing assay)が亢進することが確認できた。一方、NTのレセプター遺伝子(NTR1)をsiRNA法によりノックダウンすると、細胞株の浸潤能が大きく抑制された。つまりNT-NTR1を介したシグナル伝達は、癌細胞の浸潤能獲得に大きく関わっている事を証明するものである。臨床検体で示されたNTおよびNTR1遺伝子を高発現する患者群で遠隔転移の無再発期間が短い事の説明が可能となった。
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Research Products
(3 results)