2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤によるEBウイルス複製サイクル誘導を利用したあらたな上咽頭癌治療の開発
Project/Area Number |
20592012
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
室野 重之 Kanazawa University, 附属病院, 講師 (20345622)
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Keywords | 上咽頭癌 / 抗癌剤 / EBウイルス / 複製サイクル / ガンシクロビル |
Research Abstract |
本年度は(1)培養細胞を用いた研究、および(2)上咽頭癌生検組織を用いた研究を遂行した。 (1)培養細胞として、EBウイルス陽性の上皮細胞を3種類使用し、これらの細胞をCDDPで処理した。当初予定の1μg/mlの濃度ではアポトーシスを誘導することがなかった。処理後の細胞よりCell Lyasateを回収し、Western Blotを施行した。CDDP処理細胞において、BZLF1蛋白の発現、BRLF1蛋白の発現、EA-Dの発現を認め、これらの細胞では複製サイクルが誘導されていることが示唆された。一方、2μg/mlの濃度では、細胞増殖がやや減弱し、アポトーシスも関与していることがうかがわれた。 (2)化学放射線治療を施行された上咽頭癌11例において、治療開始前の上咽頭癌組織、および第1コース目の化学療法終了時の上咽頭癌組織、を採取した。化学療法は5-FU(800mg/m2/日*5日)ののちにCDDP(50mg/m2/日*2日)を施行した。昨年度より症例数を増やしたが、昨年度どの報告同様に、HE染色ではアポトーシスに特徴的な、濃縮した核の像はわずかに散見される程度であり、これらの薬剤によりアポトーシスが積極的に誘導されていることは示唆されなかった。治療効果は7例がGrade0で4例がGrade1であった。 次年度は、EBウイルスの複製サイクルの誘導についてさらに検討を進め、ガンシクロビル併用の有効性の検証を進めていく予定である。
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