2010 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭癌由来癌幹細胞の生存・増殖・分化・遊走における間質細胞の役割とその制御機構
Project/Area Number |
20592023
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉富 勇一郎 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30225247)
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Keywords | 喉頭癌 / 癌幹細胞 / 線維芽細胞 / 脂肪細胞 / 増殖 / アポトーシス / 遊走 / 浸潤 |
Research Abstract |
平成20年度の結果では、線維芽細胞は、癌幹細胞の生存・自己複製・癌細胞産生を促進した。平成21年度は、癌幹細胞に対する脂肪細胞の影響を同様に検討した。それによると、線維芽細胞とは異なり、癌幹細胞の生存・自己複製率・癌細胞産生に関しては、抑制傾向が見られたが、統計学的な有意差が得られなかった。脂肪細胞のアディポカイン産生が実験毎にバラツキがあり、その点の解析が未だ不十分である。平成22年度は、脂肪細胞ではなく、脂肪組織での実験では、癌幹細胞の生存・自己複製率・癌細胞産生に関しては、抑制的であった。おそらく、脂肪毒性による可能性が考えられた。平成22年度の結果を踏まえて、平成23年度の脂肪組織の脂肪毒性に対する影響を解析した。アディポカインの発現に有意な変化が見られなかったので、遊離脂肪酸を検討した。パルミチン酸、リノール酸、オレイン酸では、パルミチン酸が癌幹細胞に対して、アポトーシスを促進する傾向が見られたが、統計学的な有意差は見られなかった。また、培養系でのcDNA microarrayによる網羅的遺伝子解析を行ったが、優位な遺伝子発現差を同定できなかった。おそらく、培養期間中の細胞死、細胞脂肪毒性のためと考えられた。脂肪組織と癌幹細胞の解析に集中したために、当初予定していた癌幹細胞への候補遺伝子産物の蛋白やその阻害剤(抗体など)の投与実験、間質細胞誘導性の癌幹細胞の細胞動態の仲介因子の同定、癌幹細胞と間質細胞の組み合わせによるスキッドマウスへの移植実験は遂行できなかった。今後も上記課題を、検討する予定である。また、本研究では脂肪組織の実験を通して脂肪組織を基盤とした病態解析モデルを樹立したので、今後の研究の新展開が期待できる。
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