2010 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学的手法を用いた新たな人工気管の開発と気管再生における上皮化機序の解明
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20592024
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
多田 靖宏 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70363760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹澤 俊明 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換え家畜研究センター, 主任研究員 (50301297)
横山 秀二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80381408)
三蒲 智広 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00423806)
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Keywords | 再生 / 気管 / vitrigel / b-FGF / 気管上皮 / collagen |
Research Abstract |
これまで組織再生誘導型人工材料を用いた気管再建の研究を行ってきた。気管再建部の上皮形成促進を図るため、線維芽細胞やビトリゲルを組み入れ、効果が証明されている。今回は、ビトリゲルに線維芽細胞増殖因子(b-FGF)を添加した人工材料を作製し、上皮形成促進効果を評価した。b-FGFなしのビトリゲルをコントロールとし、b-FGF10ngと100ngを添加したビトリゲルの計3種類を評価した。 全身麻酔下にSDラットの気管を露出し2×4mmの気管欠損を作製した。それぞれの人工材料で気管欠損部を多い、前頸筋を縫合することで固定した。3日、5日、7日、14日の経過観察後に喉頭気管の摘出を行った。標本は10%ホルマリンによる固定、パラフィン包埋し、気管欠損部の中央が観察できるよう水平断の標本を作製しhematoxylin & eosin染色を行った。 移植後3日ではいずれの人工材料でも上皮形成は確認されなかった。移植後5日ではb-FGFなし群では上皮形成は認めず、b-FGF10ngで単層の上皮形成、b-FGF100ngで重層の上皮形成を認めた。移植後7日ではb-FGFなし群でも単層の上皮形成を認め、b-FGF10ng,100ng群では一部線毛細胞も確認できるようになった。b-FGF10ng群では上皮下層の炎症細胞侵入、b-FGF100ng群では線維芽細胞侵入も確認され厚みのある上皮下層が形成されていた。移植後14日では全ての人工材料において多列上皮を認めるようになり、線毛細胞も確認された。b-FGF10ng、100ng群では上皮下層に血管新生が確認された。 b-FGFによる上皮形成および上皮下層の形成促進が確認され、濃度を変化させることで形成が助長されることも確認された。上皮および上皮下層の早期形成は外的刺激や感染防御につながり、結果的には気管再建術後の良好な経過を得るための一つの対策になる可能性があると思われた。
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Research Products
(3 results)