2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部がんにおけるmTOR阻害薬による放射線増感効果の基礎的研究
Project/Area Number |
20592025
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00326323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家根 旦有 近畿大学, 医学部, 教授 (40220199)
高橋 昭久 群馬大学, 医学部, 准教授 (60275336)
|
Keywords | 頭頸部がん / mTOR / 放射線 / 抗がん剤 / p53 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究では頭頸部がん治療効果の向上のため、悪性腫瘍の約半数を占めるp53の機能に異常があり、放射線治療抵抗性のがん細胞の治療感受性を高めることを目的としている。その標的として治療抵抗性の要因として知られている生存シグナル経路のmTOR(mammalian target of rapamycin)シグナル経路に注目し、この経路を阻害することで放射線治療の増感効果を高めることを狙っている。前年度は、がん細胞の培養細胞レベルでの「mTOR阻害薬ラバマイシンによる抗がん剤の増感効果」について検討した結果、p53遺伝子型に依存せずラバマイシンによる細胞増殖の抑制効果が認められ、さらに、ラバマイシンがシスプラチン誘導性アポトーシスを増感させることを見出した。ラバマイシンがAkt-mTOR pathwayを阻害することで、放射線誘導性アポトーシスを増感させ、mTOR阻害薬ラバマイシンはp53非依存的に抗がん剤及び放射線による増感効果を示すことが示唆された。今年度は、さらにAkt-mTOR pathwayによるDNA傷害性アポトーシスの制御メカニズムを細胞周期の観点から検討した。その結果、p53遺伝子型に関わらずラバマイシン単独、シスプラチン及び放射線併用により細胞増殖抑制効果を認めるとともに、細胞周期においてラバマイシン単独群ではG_1停止を認め、併用群ではG_1停止とともにS期の減少を認めた。ラバマイシンは放射線および抗がん剤により誘導されたAkt-mTORシグナルの活性化を抑制し、正常型p53細胞でp53依存的なp21^<wAF1>の誘導を抑制した。これらの結果より、ラバマイシンはp53遺伝子型に関わらず、放射線およびシスプラチンにより誘導されたAkt-mTOR pathwayを抑制し、細胞周期を抑制することで細胞増殖抑制効果を示すことが示唆された。
|
Research Products
(4 results)