2009 Fiscal Year Annual Research Report
網膜芽細胞腫に対する腫瘍自己溶解型ウイルスを用いた新規治療の開発
Project/Area Number |
20592047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉川 洋 Kyushu University, 大学病院, 助教 (00304808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 吉和 千葉大学, 医学研究科, 教授 (40315065)
園田 康平 九州大学, 大学病院, 講師 (10294943)
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Keywords | 網膜芽細胞腫 / 遺伝子治療 / 免疫治療 / SeV / ΛM / 硝子体播種 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、in vitroの系でSeV/ΛMウイルスベクターのヒト網膜芽細胞腫(RB)細胞株(Y79, WERI-Rb-I)への遺伝子導入効果について検討した。SeV/ΛMベクターの濃度をMOI=50, 100, 200まで高くしたが、RB細胞への遺伝子導入効率はMOI=25の場合と比較して改善されなかった。RB細胞株ではSeV/ΛMベクターの感染に必要なレセプターの発現が低下している可能性を考え、低酸素や炎症性サイトカインなどの刺激下にSeV/ΛMベクターの感染を試みたが、改善を認めなかった。以上の結果より、SeV/ΛMベクターのRB細胞への感染・遺伝子導入は困難と考えられた。一方で、別の細胞株(網膜色素上皮細胞株)などへは高効率に遺伝子導入が可能であることから、これらの細胞に抗腫瘍作用を持つ液性因子(IFN-βなど)を遺伝子導入し、パラクライン作用によってRBの増殖を抑制する方法が可能と考えられた。 In vivoの系では、RB細胞株(Y79, WERI-Rb-1)とマトリゲルの混合液を、重症免疫不全(SCID)マウス皮下に接種することにより、疾患モデルを確立することに成功した。RBの接種後、皮下の腫瘍塊は1カ月にわたり徐々に増大し、術者あるいはマウス個体による腫瘍径にも大きな違いがなく、治療実験に応用可能と考えられた。現在、本モデルを用いて、SeV/ΛMベクターの抗腫瘍効果について検討中である。
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